第9章 プロペラ

9.1 プロペラブレードの形状設計

6年前のメンバーが開発し、使用してきた計算プログラムを用いて諸元値を決定した。このプログラムは、後流中の渦による誘起速度を求め、それを利用してブレード上の循環分布を最適化するものであり、回転軸付近に翼がない部分が存在する場合も考慮されている。

設計は、低レイノルズ数領域での使用であることを念頭に行った。一般に、翼面上のレイノルズ数が1.0~2.0×105を下回るあたりから気流の剥離が起こるとされている。よって本設計においては、翼面上のレイノルズ数が最低でも1.0×105のレベルを確保できるようにした。設計点での揚力係数を抑えて失速特性を高めるといった基本姿勢は、昨年のものを踏襲している。

以下に、前述のプログラムを用いた計算結果を記す。

設計推力 = 30.0 [N]

入力パワ = 260 [W]

プロペラ回転数 = 2.50 [rps]

巡航速度 = 7.50 [m/s]

ブレード枚数 = 2

プロペラ半径 = 1.55 [m]

プロペラ内部半径 = 0.05 [m]

ブレード分割数 = 15

空気密度 = 1.176 [kg/m3]

プロペラ迎角 = 1.0 [deg]

設計揚力係数 = 0.5

設計抗力係数 = 0.02

半径(m) 翼弦長(m) 取付角(deg) 入射角(deg) 循環(m2/s) 局所効率 Re数
0.10 0.1193 79.75 78.8 0.23 0.7524 6.2×104
0.20 0.1803 69.31 68.3 0.37 0.8405 1.0×105
0.30 0.2189 60.18 59.2 0.48 0.8651 1.3×105
0.40 0.2391 52.50 51.5 0.58 0.8739 1.6×105
0.50 0.2459 46.17 45.2 0.67 0.8764 1.8×105
0.60 0.2435 40.97 40.0 0.73 0.8758 1.9×105
0.70 0.2353 36.69 35.7 0.78 0.8735 2.1×105
0.80 0.2234 33.15 32.2 0.82 0.8702 2.2×105
0.90 0.2090 30.20 29.2 0.84 0.8662 2.2×105
1.0 0.1927 27.70 26.7 0.84 0.8618 2.2×105
1.1 0.1748 25.57 24.6 0.82 0.8571 2.2×105
1.2 0.1551 23.74 22.7 0.79 0.8522 2.1×105
1.3 0.1329 22.15 21.1 0.72 0.8471 1.9×105
1.4 0.1058 20.76 19.8 0.61 0.8420 1.6×105
1.5 0.0699 19.53 18.5 0.43 0.8368 1.1×105

推力 = 29.72 [N]

トルク = 16.55 [N m]

プロペラ効率 = 0.8573

また、プロペラブレードの翼弦長分布は次のグラフのようになる。

pcoord

なお、翼型はDAE51を使用する。

9.2 性能計算

運動量・翼素理論(Momentum-blade element theory)により、巡航速度およびプロペラ回転数が変化した場合の性能の変化を計算した。計算にあたっては、迎角 αと揚力係数Clの関係を線形近似し、揚力傾斜を5.39、零揚力角を-4.8度とした。また、翼端損失も考慮されている。 回転数nを一定(2.5rps)とし、巡航速度Vを変化させたときの推力および必要パワーの変化は次の通りである。

prop-vt

巡航速度Vを一定(7.5m/s)とし、回転数nを変化させたときの推力および必要パワーの変化は次の通りである。

prop-nt

9.3 構造

今年のプロペラにおける昨年との最大の相違点は、主桁の材料である。 昨年から、主桁の翼根部分に金属棒を用い、翼端でのたわみを抑える方法を採っている。昨年はアルミ合金の中実棒を使った。しかし、駆動試験の際に、突然の追い風にあおられて降伏してしまった。そのため、本番にはオーバースペックと分かりつつもSUS304の中実棒を使ったプロペラで望まざるを得なかった。

このような経緯から、今年は翼根部分に純チタンの中実棒を使用する。チタンというと高価なイメージがあるが、ブレード1本に使う分が1000円程度で買えたので、思い切って試してみることにした。できた桁の荷重試験の結果、翼端でのたわみは約40mm程度と予想され、カーボンストックのみの場合120mm 以上たわむことを考えると、十分効果が得られるものと思われる。

その他のプロペラの構造は、基本的にこれまでの方針を踏襲する。すなわち、主桁に朴の木(ほおのき)のリブを100mm間隔で通し、前縁、後縁をそれぞれスタイロフォームとバルサ材で形成して、表面にバルサ材をはる方法である。ブレード表面には模型用のフィルムを貼りつけ、強度を向上させるとともに抵抗の軽減をめざす。

peraketa

 

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