第8章 駆動

ペダルからプロペラシャフトまでの回転の伝達には、これまで同様ピッチ6.35mmのチェーンを用いる。しかし、今年は従来のギヤボックス方式をやめ、チェーンをねじって回転面を変えることにした。

昨年まで使用していたギヤボックスは、かさ歯車を用いて入力軸と出力軸を直交させていた。しかし、この方法だと重量がかさむうえ、かさ歯車のクリアランスの調整が難しいという短所があった。

そこで、今年はかさ歯車をなくすことを試みた。コックピット前部の従来ギヤボックスがあった場所に、ペダルの回転面を平行移動した位置に出力の回転面を置く機構(スプロケットボックスと名付けた)を設け、そこからプロペラシャフトまで伝達する部分のチェーンをねじることにした。(スプロケットボックス図面 sbox.gif )

ただ、これは経験のないことであり、歯飛びやチェーンの異常振動などが懸念された。そのため、実際にスプロケットボックスを製作し、昨年の機体を使って駆動試験を行った。その結果、かなり大きな負荷がかかっても伝達に異常は生じないことが確認された。また、重量も従来のギヤボックスにくらべ約30%軽減された。よって、今年はこの方針で製作を進めることにした。

ペダル回転軸についても、今年は自作を試みる。

昨年は自転車のボトムブラケットをそのまま流用した。これは軸と軸受が一体になってケースに入っており、伝達効率は非常によい。しかし、機体に固定するのが難しく、かなり無理があった。

そこで、今回はケースをアルミ合金で製作し、機体に取り付けたあとも分解・調整ができるようにすることをめざす。こちらのほうも現在製作中で、実用化の目途は立っている。

このほか、プロペラシャフトの肉厚を薄くしたり、ペダルを自転車競技用のものに変えたりと、今年の駆動系は大幅に進化する。

kudou

 

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