第6章 空力設計

[latexpage]

主翼空力設計

主翼面積の決定

begin{equation}
ScosGamma = frac{2W}{rho C_l V^2}
end{equation}

この式より主翼面積を決定する。

機体重量 W = 100 ( kgf )
空気密度 ρ=0.119 ( kgf・s2 / m4 )
揚力係数 CL = 1.1
機速 V = 7.5 ( m / s )
上半角 Γ= 10°

以上の値を代入して、主翼面積 S = 27.59 ( m2 )と決定される。

主翼平面形の決定

主翼の平面形は以下の事項を考慮して決定する。

  • 循環分布ができるだけ楕円分布に近い。
  • 翼端失速が起こりにくい。
  • 翼端にかけて荷重を減らす。
  • 製作が容易であること。

根拠

  • 1は翼端失速が起こると、ロール安定性が損なわれてしまうからで、これに対する対策としては、精度に疑問が残る捩じり下げは用いずに、局所揚力係数Clを翼根から翼端にかけて、単調減少するように設計する方法をとり、翼の途中で極大にならないようにする。
  • 2は主桁の強度的な問題で、翼端に大きな揚力を持たせると翼根部の曲げモーメントが大きくなってしまうからである。そのため、テーパ翼にすることでこの問題を解決する。
  • 3は CDi = CL2/πeARで表される誘導抵抗係数を小さくするためで、循環分布が楕円分布の時、飛行機効率e = 1となり、誘導抵抗係数は極小となるので、なるべく楕円分布に近づけることにする。
  • 4は設計を確実に実現するために重要な要素である。具体的には直線的なテーパ、捩じり下げなし、などが挙げられる。

主翼平面形の最適化

上述した誘導抵抗を最小にするために、テーパ開始位置lt、テーパ比λをパラメータにして循環の楕円分布とのずれの2乗を翼幅方向に積分したものを評価関数に採用して、それを最小にするようなlt、λを探す最適化プログラムを作成した。

循環は次式で表される。

Γ = Cl cV / 2

c : 翼弦長

V : 機速

またClの計算には以下に示すシュレンクの近似式を用いた。

begin{equation}
C_l = frac{C_{l_alpha}}{2}left(alpha_{w0} – frac{2epsilon_t}{b}yright)+frac{1}{2}left(1+frac{4S}{pi bc}sqrt{1-(frac{2y}{b})^2}right)C_L
end{equation}

Clα: 揚力傾斜

εt : 捩じり下げ

b : スパン長

y : 翼根からの距離

αwo: rootの翼基準線からのzero liftの角度   今年の設計ではεt=0°としたので結局、

begin{equation}
Gamma = frac{1}{4} left( 1+frac{4S}{pi bc} sqrt{1-(frac{2y}{b})^2} right) cVC_L
end{equation}

となる。テーパの付け方はテーパ開始位置まで(ノンテーパ部)はc = co (const)で、テーパ開始位置以後は直線的にテーパをつけていく。cはltとλを用いて次のように表される。

begin{eqnarray}
c = left{
begin{array}{ll}
c_o & (0 le y le l_t) &
frac{c_o(lambda-1)}{b/2-l_t} (y-l_t) + c_o & (l_t le y le b/2)
end{array}
right.
end{eqnarray}

coは主翼面積の拘束条件より以下の式を満たすように決定される。

begin{equation}

S = c_o l_t + (1/2) c_o (lambda + 1) (b/2-l_t )

end{equation}

また目指す循環分布を

begin{equation}

Gamma_{opt} = Gamma^ast sqrt{1-(frac{2y}{b})^2}

end{equation}

とした時のΓ*は揚力の拘束条件より以下の式を満たすように決定する。

begin{eqnarray}

L = 2int_0^{b/2} frac{1}{2}rho cV^2 C_l dy

C_l = frac{2Gamma^ast}{cV}sqrt{1-(frac{2y}{b})^2}

end{eqnarray}

L = W : 揚力

ここで評価関数Zを以下のように定義する。

begin{equation}
Z = int_0^{b/2} (Gamma – Gamma_{opt})^2 dy
end{equation}

テーパ比をλ=0.7とした時、横軸にテーパ開始位置をとってZのグラフを描くと以下のようになる。

image12

このグラフよりlt = 5 ( m )付近で極小値をとることがわかる。制作の都合上、主翼分割位置でテーパを開始することにして平面形を以下のように決定した。

lt = 4. 8 ( m )

co = 1. 180 ( m )

λco = 0. 83 ( m )

断面揚力係数分布

これまで求めた数値を用いて断面揚力係数Clの分布を求めると次のようになる。グラフからもわかるようにClの最大値は翼根にきており、翼端失速の危険性は少ないと考えられる。

主桁位置の決定

風圧中心位置は次式より求まる。

C.P. = 0.25 – CM/CL

CM , CL値をデータから読み取って代入すると、

α = 4 ° C.P. = 0. 25 – ( – 0. 129 ) / 1. 1 =0. 367

α = 6 ° C.P. = 0. 25 – ( – 0. 130 ) / 1. 31 =0. 349

α = 8 ° C.P. = 0. 25 – ( – 0. 128 ) / 1. 50 =0. 355

迎角が大きい時でもねじり上げが起こりにくくするために、主桁位置は33 %とする。

尾翼の空力設計

水平尾翼

面積

水平尾翼容積は次のようにあらわされる。

begin{equation}
V_h =S_h l_h/(bar{c}S)
end{equation}

lh :テールモーメントアーム

Sh :水平尾翼面積

S :主翼面積

$bar{c}$ :主翼平均空力翼弦

過去の機体のデータからVh=0. 3と決定した。テールモーメントアーム lh=4. 4 ( m )として

Sh = 2.04 (m2)

 

平面形

image17

スパン3 ( m )の矩形翼とした。

安定性

以上の値より縦の静安定を示すCmαを求めると 、 Cmα= – 3.66

となり、Cmα<0となっているので、縦の静安定は安定になっている。

垂直尾翼

面積

垂直尾翼容積は次のようにあらわされる。

begin{equation}
V_v =S_v l_v/(bS)
end{equation}

lv :テールモーメントアーム

Sv :垂直尾翼面積

S :主翼面積

b :主翼スパン

過去の機体では、Vv=0. 011程度の値が使われていたが、1996年度の大会でのスパイラルモードの不安定を改善するため、Svを小さくし、Vv= 0 .010と決定した。テールモーメントアームをlv= 5 .3 ( m )として

Sv=1.368(m2)

平面形

image20

スパンbvを2.0 ( m )から2.2 ( m )に延長し、効率の向上を目指す。なお、プラットホームからの離陸の際に、下部が 接触しないように、上部を延長する事にした。

抵抗推算

全機抵抗CDは次のように表される。

CD=CDo+CDi (CDo:有害抵抗係数、CDi:誘導抵抗係数)

有害抵抗係数の推算

各部分の抵抗係数を定義する基準面積をSπとし、Sπを用いた時の抵抗係数をCDπとすると、

CDo=(1+k)ΣCDπ・Sπ/S

kは干渉などに関する補正係数で今回はk=0.1とする。

以下にSπとCDπの関係を示す。

Sπ ( m2 ) CDπ
主翼 27.97 0.001+CDω (CDω:主翼抵抗係数)
水平尾翼 2.04 0.008
垂直尾翼 1.368 0.008
胴体 0.0078 0.1
フェアリング 1.26 0.1
キングポスト 0.05 0.1
ワイヤー 0.06 1.5

DAE11の場合、CL=1.1の時、CDw=0.0095であるから、

CDo=(1.1/27.97){0.0105×27.97+0.008×(2.04+1.368)+0.1×(0.0078+1.26+0.05)+1.5×0.06} = 0.02134

誘導抵抗係数の推算

誘導抵抗係数CD iは次のように表される。

CDi =CL2/(eπAReh)

(e :飛行機効率、AR eh:地面効果を考慮したアスペクト比)

AR ehは次のように表される

begin{equation}
AR_{eh} = frac{1 + 33 (h/b)^{1.5}AR}{33 (h/b)^{1.5}}
end{equation}

e = 0.9として、AR = 24.16、b = 26 ( m )、 CL=1.1を代入すると、次のようになる。

高度 h (m) AReh 誘導抵抗係数 CDi
10 27.23 0.0157
9 27.75 0.0154
8 28.45 0.0150
7 29.40 0.0146
6 30.76 0.0139
5 32.84 0.0130
4 36.29 0.0118
3 42.84 0.0100

必要パワー 推力をT、抵抗をD、機速をv、必要パワーをPとすると、

T = D

P = Tv = Dv =0.5ρv^2・S・CD・v =0.5ρv^3・S(CDo+CDi)

飛行高度と必要パワーの関係を下図に示す。

image27

 

前の章 目次に戻る 次の章


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です