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琵琶湖での計測結果

!2002年度 対気速度・回転数の記録

☆以上のデータは、フライト時に主翼にとりつけたプロペラ式の対気速度計、および駆動ギアにとりつけたフォトインタラプタを使用した回転数計によりEEPROMに記録したものを、グラフ化したものです。

機速データについて、よみうりTVが三角測量で測定した飛距離が310m、このデータに基づき積分計算した対気速度による飛距離が298.9mでした。対気速度による計測値での積分ですが、ほぼ無風状態でのフライトであったことを考えると、ほぼ妥当な値であったとの評価ができると思われます。また回転数計については、ペダルに取り付けたギアの歯数を基に計算した値であるので、原理的に妥当な値であると思われます。

第5回試験飛行(7/13)

第5回テストフライト結果/本番へ向けての状況

7月13日に、第5回テストフライトを行いました。

今回試験飛行の目的は、主にパイロットの操縦の習熟でしたが、実際に走行させてみると主翼の左右揚力バランスが悪く、機体は大きく左に傾いて接地し、すぐにキャスターが破損してしまったため、飛行を殆ど行わないうちに中止となりました。
以下パート別の報告および、本番へ向けての現状報告です。

プロペラ班

(1)本番までの活動

プロペラ本体の調整は既に済んでいるため、以下の作業を行う。

・1号ぺラを組みあげた状態で持っていくために、キャリアーをもうひとつ作る。(但し持って行く際の車内のスペースの関係で物理的に載せられない場合は、分解して持って行く。これは実際に車が来てみないとはっきりとは分からないので、どちらも準備しておいて、その場で臨機応変に対応することとする。)
・プロペラ用のスピナを改良する。現在のスピナは、胴体部分との間に隙間ができるので、これを無くす又は狭くする処置を施す。
・主翼・尾翼の翼端フェアリングを製作する。今回は、作業場に残っている材料を利用する、という兼ね合いから、スタイロフォームを用いる。
・各種ボルト、ナット類を多めに準備しておく。

(2)今大会への抱負と今後

今大会向けのプロペラは、構造などほとんど全てが昨年の物まねである。物まねをいう表現は聞こえは悪いが、昨年までの構造が極めて良くできているものであるので、とにもかくにも最低限同じモノが作れないと独自の改良もあり得ない、という方針に従って、とにかく最低限昨年までのものを下回らないプロペラを製作することを目標としてきた。

この目標は、全ての面において達成できたとは言い難い(表面処理などは昨年のものの方が滑らかであったし、重さも今年の方が重くなっている。)が、逆に構造面、特にねじれ、たわみにおいては昨年よりも意識して丈夫に作っている。ただ、試験飛行においてはっきりとした証拠(成果)を得られなかったのは残念である。

今回、はじめてプロペラを担当して実際に製作してみて、ようやく何が大事でどういうところは手抜きしても良いのか感覚的にも分かってきたし、数字を用いて定量的に議論することの意味も分かってきた。それは、OBや先輩の指導のおかげであるという部分が大きいし、自分自身の経験も大きいのだと思う。まだ本番が終わっていないのに、こういうことを言うのはまだ早いかも知れないが、来年は、専用の桁を注文し、より丈夫で軽く、かつ滑らかな表面でブレードの重さの差が無い、性能の良いプロペラを独自の工夫を交えて製作したいと思う。

では、本番への準備をしっかりやって悔いの無い大会にしよう、ということを改めてここに記して、本稿の終わりとする。

計測班

今回の試験飛行では、回転数計を廃止し、気速計とそのデータの記録を確実に行うことに重点をおきました。暫定的に3つのプログラムを継ぎ接ぎしてプログラムを作り、最大の懸念であった動作停止は完全に排除できました。

具体的には、これまで回転数・気速の計測用に2つのPIC16F628を用い、そのデータ収集用に、システムとしての中央にPIC16F873を使っていましたが、気速とデータ収集を一つのPIC16F873で統合して行うことにしました。従来は通信ごとにすべて応答を待っていたので、無応答に対する処理を追加しない限り停止の要因が数多かったのですが、今回のシステムでは、EEPROMとのI2C通信以外はPIC内で処理しています。

上記のように暫定的なソフトウェアであったため、データとしては不完全(奇妙)なもの(下図)となってしまいましたが、タイマの処理(計測を行うPIC の種類の変更に伴うもの)、16進数-10進数変換の処理、テーブルの処理の不整合によるものと思われます。秒数から判断して、今回の飛行中の速度と見られる部分をグラフ化しました(したがって、気速の値そのものは不正確です)。ただしデータ処理をのぞけば、基本的に正常に動作している(液晶の表示、割り込みの処理、メータのPWM制御などハードウェア寄りの部分)ように見受けられるので、データ処理の部分について、プログラムを本番までに書き変えることで容易に修正できると思われます。

今後本番に向けて、プログラムの新規作成を筆頭に、予備基板の作成、表示用メータの調整・安全対策、防水加工、コックピットへの安全な固定、等を行う必要があります。しかし今回、ハードウェアは満足のいく物を完成させることができたので、システムとしての完成はさほど困難ではないと思っています。

主翼班

今回の試験飛行では左翼の揚力が足りなかったのか、左右バランスが著しく崩れてしまっていた。原因としては、前回の試験飛行で破損したリアスパ接合部金具を接着する際に迎角が変わってしまったことが考えられる。もう一度各翼がねじれていないか確かめる必要がある。場合によっては先週接着しなおしたリアスパ接合金具をはがして、再接着する。

また、大会までに後縁材やフィルムを貼りなおすことも予定している。

操舵班

第5回試験飛行では、操舵系は特に新たなことは見あたらなかった。

2002年度の操舵が行ったことは、今まで案はあったものの行われていなかったリンケージワイヤの内蔵、である。その他の部分、操縦桿などは以前のもの(2000年)を引き継ぐことにした。初めての部分が多かった内蔵は、OBの指摘に助けられたところが多い。また、新しいことにチャレンジさせてくれた先輩にも感謝している。

問題の内蔵式の動きだが第一回試験飛行のころは作業性の問題点が残ったが、その後のtry&errorで現在では取り付けもすばやくなっている。尾翼自体の動きは問題のないレベルに仕上がっている。しかし、見た目や、持ちやすさは確かに向上したが作業量の多さや、カーボンパイプに穴をあけなければならないのも事実である。来年度以降は問題点を洗って方向を考えるつもりです。

最後になりましたが、今年1年の間さまざまな面で支援していただいたOB、生産研の方々、その他F-tecを支えて頂いた方々、本当にありがとうございました。

フェアリング班

大会に向けて
3週間前になってやっと動き出した班である上に稼動人員の大半が一年であるため、 作業がはかどらなかったのが最大の問題であり、ひやひやさせられた。しかし、山上さんや渡辺さんなどのご助力により、どうにか明日組み立て試験を行える状態にはこぎつけた。とはいっても他にもドアの部分のフィルムが張ってなかったりハーフミラーが張ってなかったりと問題は山積している。残りわずかな時間であるが、有意義に使ってゆきたいと思う。大会当日にフェアリングをつけて飛んでいる飛行機を見るのが何よりの楽しみである。

今年の抱負・来年に向けて
「一つのものを作ってみる」ということを通じて、「作る」ということの難しさが身にしみてよくわかった。材料のことも考え方のことも、1から勉強していかねばならない。今年はまず最低限壊れないものを作ることを覚えることが目標である。材料はどの程度でもつのか、どうすれば軽くて済むのか、etcといったことも順次覚えてゆかねばならない。来年は今年覚えたことを間違いなく行かせることが第一目標である。また、今年失敗した点を徹底的に洗い出して修正していくことが目標である。最後に、フェアリングを何とか形にしてくださった山上さん、渡辺さんに大きな感謝を表明しておきたいと思う。有難うございました。

第4回試験飛行(7/6)

第4回テストフライト結果

7月6日に、第4回テストフライトを行いました。

今回試験飛行の目的は、機体の最終調整と、操舵(ラダ-)の効き具合の確認としました。3回の飛行を行い、ワイヤー長さ、主翼の迎え角・取り付け位置、プロペラピッチが適正であることが確認できました。
3本目の飛行時に、左の内翼と外翼との間の、リアスパの接合部の接着が外れたため、中止としました。  以下、パート別の報告です。

プロペラ班

 去る7月5日に、本番用のプロペラが完成し、同5日~6日朝にかけての試験飛行で初使用となった。

 1つめのプロペラとの相違は、桁に使用しているスキーストックのねじれ剛性の不足を考慮して、応急的45度層としてカーボンクロスを接着したことである。その他においては、ほとんど同じでもちろん外形は全く同じものとなっている。外観は、1つめはメンバーに回転面を周知させ安全を図るために、目立つオレンジ1色としたが、今回は白を基調として先端部に回転面を示す青い帯を太いものと細いものを2本ずついれてある。

 試験飛行において、駆動系統と合わせてパイロットの感想は(漕いだときの重さなど)大変良いものである、という報告を受けている。取り付け角は、1度としているが、0度から2度まで0.5度刻みでの調節が可能である。定常飛行を行って、パイロットの感触を確かめた上で、微調整を行うものとする。

 今後、プロペラ班としてはスピナの製作が残っているが、ついでに主翼・尾翼の翼端フェアリングも製作する予定である。

計測班

 今回の試験飛行までに、前回の基板から、水晶発振子の基板への半田付けを行い、また殆どの半田付け部の半田の再融解、固定を行いました。また回転数計については、機能を停止させることとし、常にリクエストに対して”03″を返すようにソフトウェアを変更して臨みました。

 しかしながら、LCDの表示が停まるという不具合を解消することはやはりできませんでした。一本目の飛行の間については動作を続けていたものの、その後やはり動作を停止してしまいました。

 正直なところ、原因不明としか言いようがない状態ですが、動作の止まった状態のLCDを見たところ回転数の最大値が”7″となっており、ここから USART機能の不具合を疑っています。また基板全体で1個の水晶発振子のクロックを共有(PIC3つ)していますが、温度・湿度の変化によりこの伝送路のインピーダンスが変化し、不必要な定常波が生じて動作クロックに悪影響を及ぼしているのではないかと想像します。

 しかし今回の基板は原因追及には時間がかかりすぎるので、とりあえずバックアップとして、次回試験飛行までに機速計の処理・データ蓄積専用の基板を作り、完全に独立してデータを記録することができるようにする予定です。本番までに本来の基板の復旧ができない場合、同じく回転数計専用の基板を作って搭載することも考えています。

主翼班

3回目のテストフライトで機体を走らせて(飛ばして)停止する際に左翼が地面に接触し、その際に左内翼と外翼のリアスパ接合部の外翼側の金具の接着がはがれ、金具が外れてしまった。リアスパ接合部付近の構造をうまく言葉で表現できないので近日中に写真を載せたいと思っています。何が問題だったのかについては、外れた金具の接着面を見たところ、エポキシ接着剤がリアスパと金具の間に充分に入っていなかったことがまず考えられる。これは丁寧に接着作業をすることで充分に解決できると考えている(前の接着作業が適当であったというわけではありませんが)。

今回もワイヤーの長さはすべてのフライトで前回の試験飛行と同じ長さであった。今回の取り付けはきわめて順調であった。

地面との接触などによる機体(リブ)の破損が外翼、最外翼に数箇所みられるので、今週はその修復作業を行う予定であ る。また今週から翼間フェアリングの製作にも取り掛かる予定である。

操舵班

 第四回試験飛行での操舵系統の状態は好調であった。
 まず、内蔵型については作業性も慣れてきたこともあり取り付け時間も安定してきた。そして、前回指摘された操縦桿については、操縦桿の握る部分の形をT字に変えたことで、パイロットがエレベータを機首上げにする時も体重をかけることになり、操縦性が向上した。

 今回の試験飛行では、垂直尾翼がどの程度機体に影響を与えるのかを試す途中で主翼の接着部がはずれてしまったため、まだパイロットが操縦性に慣れたわけではないので最後の試験飛行でこの点を詰めていくつもりである。

第3回試験飛行(6/29)

!第3回テストフライト結果

6月28日に、第3回テストフライトを行いました。第2回テストフライトは、6月22日に行う予定で実際に富士川まで行きましたが、強風と続く雨のため組み立てを中断、試験を断念しました。

今回試験飛行の目的は、飛行姿勢等の確認と、それに伴う迎え角の調整、各部の仕上がり具合の確認でした。実際に4回の走行試験を行ったところ、1回目、2回目では機体は滑走路中心線から若干ずれつつも、よくバランスのとれた状態で走行させることができました。

3回目、4回目は迎え角を変更し、実際に飛行させることができましたが、各回とも機首下げの状態での飛行であったことが、ビデオ撮影によって判明しました。詳細は後日アップロードします。

以下、パート別の報告です。

計測班

今回の試験飛行中、途中で基板に直結のLCDの表示が停止し、メインとなる PIC16F873の動作が止まったように見えました。いったん電源を切断し再投入すると、3本目の走行・飛行中は動き続けていたものの、4回目で電源を入れて試験したところ、途中で再び動作が停止してしまい、結局、EEPROMに今回の試験飛行中のデータを記録することができませんでした。理由として、以下の2点が挙げられます。

!1. 水晶発振子の接触不良。

ソケットをニッパーで割り、直接基板に半田付けせずに水晶発振子を動作させていましたが、この接触が、機体の振れにより確実でなくなり、PICが動作を停止した可能性があります。

!2. 今回新しく取り付けた回転数測定用のPICのソフトウェアのバグ。

後日自宅で何度か動作させてみたところ、回転数測定用のPICがメインのPICに値”255″(エラー時の値としてリザーブしており、実際の回転数ではない)を返した瞬間に動作が停止することがありました。毎ループ、全PICの応答を待って動作するので、一つでも機能が停止したものがあると全体が停まってしまうようです。

当初は電池の容量不足を疑いましたが、自宅で動作させて電圧を測定する限り、十分な容量であることが分かりました。対策として、

!1. 水晶発振子は基板に直接半田付けを行いました。

!2. 回転数計用のソフトウェアに、機能の停止する原因がないかチェックするとともに、応答時間を制限する仕組みを搭載する予定です。

主翼班

今回の試験飛行の機体組み立てでは事前のワイヤー準備が中途半端であったため、ワイヤーの長さが足りなくなってしまう という失態を演じてしまった。予備のワイヤーを多数富士川に持っていっていたので、時間はかかったが落ち着いて対処できた。しかしこの作業のせいで機体完成が薄明開始後となってしまったので、次回の試験飛行では万全の準備をしていかなけれ ばいけない。

ワイヤーの長さは第1回試験飛行と同じで取り付けた。何回か走らせてみたところ、ワイヤーの長さはほぼ問題ないという ことであった。ワイヤーの長さを変えることができるように準備をしておいたが、今回はワイヤーの長さを調節する機会はなかった。

各翼の接合部の隙間を埋めるもの(翼間フェアリングと呼んでいます)は必要箇所全部の分を作ることはできなかったので左 右対称に一部ずつだけ取り付けたが、取り付けに関して特に問題となるようなことは見当たらなかった。

今回の試験飛行では主翼の左右バランスには問題がなかったので、今週は翼間フェアリングの完成を目指す。 主翼ではないが、水平尾翼の操舵関係のアームやワイヤーと干渉している部分であまりきれいに翼型がでていなかった部分があったので、その部分を作り直す必要もある。

操舵班

今回の試験飛行で問題になった点は次のとおりである。
内蔵については問題は見られなかった。しかし、パイロットが機首上げにしようとする時に現在の操縦桿では手首に負担がかかり機首上げの状態を保つことができないという問題点が見つかった。次回までに操縦桿の形を変更して操縦性を確立したいと思う。その他の点については特に問題は見当たらなかった。

駆動班

組み立てのみで終わってしまった前週にも間に合っていなかったが、今回は可動式テンショナーが完成していた。ただ完成したのが前日だった上、手違いで駆動試験を行い損ねてしまったのでぶっつけ本番になってしまった。

富士川ではこれまでよりも若干組み付けに時間がかかってしまったがそれ以外には特に問題なく準備できた。実際に使用してみると横を走りながら見た感じでは音なりもなく、ペダリングによるテンションの変化を上手く吸収してくれていたようだった。パイロットの感想では、「ペダルの踏んだ感じがかなりスムーズになった」ということだった。

特に問題は発生しなかったため、今週は予備のスプロケットの準備や、クランク~スプロケットボックス間のテンショナーの一部を作り直して軽量化をしたり、ペラシャフトの軽量化のための強度試験等をする予定だ。また、今回はトークリップペダルを使用したが、次回からはビンディングペル(SPD)を使用する予定である。

第1回試験飛行(6/8)

!第1回テストフライト結果

去る2002年6月8日に、静岡県の富士川滑空場でテストフライトを行いました。前回の試験走行に引き続き、主翼のバランス等とともに完成度を測るのが目的でした。また、重心の測定も行いました。

しかし残念ながら、プロペラ取り付け部に問題があり、プロペラを確実に軸に固定することができなかったために、地上から人が胴体を押しての試験となりました(飛行は不可能となり、地上走行による試験としました)。また、操舵系統にも問題があり、垂直尾翼を固定しての試験となりました。

実際に人が押しての走行をはじめたところ、左に若干傾いて10mほど進み、主翼が揚力によって上向きに大きく反り始めたところで、コックピットと主翼下側を結ぶワイヤーの主翼下取り付け部の金具が破損し(下写真)、直ちに試験飛行中止となりました。上の写真はその直前の瞬間を撮影したものです。

以下、パート別の報告です。

プロペラ班

①トラブルの内容

まず結論から述べると、プロペラブレードとハブの結合に問題があったのである。もともと、ハブのブレード取り付け穴の内径は20mm、それに対しブレードの根元に使用するステンレスパイプが外径19mmのものしか規格品が無く、間に0.4mmのアルミ板をエポキシ接着剤で接着して挟んでいた。この結合をハブの上から、ホース留め金具で抑えて固定していたのである。

ところが、ブレードとハブを何度も出し入れしているうちに、ブレード付け根部に巻いたアルミ板の切れ目(継ぎ目)がカッターの刃の役割を果たし、ハブの内部が削られて消耗しブレード根元を抑えきれなくなってしまっていた。さらに、そもそもホース留めのような金具では線的にしか抑えられず、ハブに入れられたスリットをつぶすほどの力にはならないことも、後で判った。

この結果、ブレードが手で回せる状態になってしまい、無理にまわすとブレードの取り付け角が変わるだけでなくブレードごと飛んでしまう可能性もあったため、プロペラの回転を取り止めることとなった。

②対策

2つの対策を記す。一つは、1本目のプロペラへの応急処置、二つ目は現在製作中のプロペラへの対策である。

1本目への対策であるが、これは生産研試作工場の方に相談して次のような対策を施した。各ブレードの根元とハブにM4のボルト穴を開け(但し、取り付け角1度のところであわせる)、さらにブレードの根元がステンレスパイプであるが中をジュラルミンの棒で埋めた。この穴にM4のボルトを締めて、ハブに開けられたスリットをつぶし、ハブとブレード根元を密着させることで固定する。ジュラルミン棒で中を埋めたのは、ステンレスパイプがつぶれてしまわないよう念のためである。

2本目は、根元部分とハブをセットで生産研試作工場の方に製作をお願いした。きっちりとはめあわせできるように製作してもらえば、1本目のようなトラブルはおきない。ただ、ホース留めによる固定は止めにして、新たな固定方法を考案した。これは、ハブの方のスリットは無くし、代わりに2つ直角にボルト穴をあけるもので、2方向にボルトで締め付けることでブレード根元をハブ穴内側へ面的に押さえつけ、摩擦を大きくして保持力を十分大きなものとできる。

計測班

今回の試験飛行では、前回試験走行で動作の不安定だった回路を新規に作り直し、対気速度を測定、EEPROMに記録しました。最高速度は5.7m/sで、これがワイヤー取り付け部の金具が破損した瞬間の速度と思われます。

EEPROMに記録されたデータの可視化(グラフ化)を行いました。時刻は計測基板の電源を入れてからの秒数であり、絶対的な数値は意味を持ちません。 t=117でワイヤー取り付け部が破損したようです。ただし、今回の試験飛行では動力源が人力(プロペラではなく地上人員による胴体押し)であったため、あまり有意義なデータとは考えていません。

今後の課題は、ペダルの回転数を計測、表示することで、基本システムは完成しており、計測用のソフトウェアの完成を待つのみの段階となっています。また 006P電池から5Vを生成する7805(三端子レギュレータ)の発熱が著しく、電池の消耗も激しいため、省電力化の必要も感じていますが、問題になるレベルではないため、主翼班への協力(作業の手伝い)を優先しようと考えています。

主翼班

①破損した張線取り付け金具について

破損した部分の金具を含め、翼に接着してある張線取り付け金具は1mm厚のアルミ板を使っていた。今回の試験飛行でのトラブルをふまえて材料、構造を見直し、新しい金具を製作、接着した。具体的には1.5mm厚のジュラルミン板を用い、穴を開ける部分はそれを2枚接着して厚みを2倍にすることで対策した。今回破損したのは翼の下側の金具であったが、接着の都合で翼の上側の張線取り付け金具も同様に作り直した。またその他の張線取り付け部も見直し、コックピット後ろ側支柱のキャスター部についていた張線取り付け金具は去年と同じものなので材料が(アルミかジュラルミンか)はっきりと分からなかったため、同様に作り直した。

②次回までの改善点

張線取り付け部付近のエスレンシート、マイラーフィルムに開ける穴をできるだけ小さくし、またこの二つの穴が直結しないように翼の内部に壁を設ける。また、各翼の接合部付近は隙間が十数cm空いているので、これを埋めるものを作る。これは翼型をしたブロックのようなものをはめ込む形になるとおもわれる。以上の2点によって翼効率の低下を防ぐ。

操舵班(6/23実施の操舵試験結果報告を含む)

①操舵の尾翼が動かないというトラブルが起こった原因について。

今年は初めての内蔵式リンケージワイヤを採用したので、この原因についてはじめは当惑したがすぐに原因が判明したので報告します。まず、後部胴体、コックピット間でワイヤを切り離す必要があったため後部胴体内に4本のワイヤ(エレベータ用×2、ラダー用×2)がたるんだ状態でおいていたが、そのためにワイヤ同士がからまってしまい、動かないということになっていた。また、ワイヤをつなぐためにかしめていた部分のロックが後部胴体内のプーリーにぶつかっていたために動きが悪くなっていた。トラブルの要因としては、前者の影響が大きいと考えられる。

②エレベーターチューブについて。

今年の機体では、駆動のテンショナーがコックピットの操縦桿右下にきているため、エレベーターのリンケージワイヤに対しワイヤチューブを用いている。このワイヤチューブの固定が完全には固定できていなかったため、リンケージワイヤの経路長が変わってしまい、操縦性に著しい影響をあたえていた。
操舵試験の結果
今回の操舵試験の目的は次の二点であった。駆動、プロペラ試験も同時に行った。

!①組み立て後の操縦性能の確認。

!②組み立てにかかる時間の短縮。

①については、前述の問題に対処して実際に試験飛行、本番前に行う準備をして臨んだところ試験飛行で見られた問題はすべて解消されていた。

②については、コックピットと胴体の接続、尾翼の取り付け、リンケージ調整を含めて1時間と、大幅な改善が見られた。人員に関しても飛行場で使うコックピット周り8人として行った。

新たに幾つかの改善個所が見つかったものの第二回試験飛行までには修復して臨むつもりです。

駆動班

その数日前の駆動試験で消えたと思っていたチェーン(スプロケットボックス~ペラシャフト)の歯飛びによる音なりが再び出てきた。原因は駆動試験のあとかなり長い間チェーンにテンションのかかったまま放置してしまっていたことでチェーンが伸びてしまったのではないかと考えられる。対策としては

!1.チェーンのリンク数を減らす

!2.テンショナーを可動式に改良する

といったことが挙げられる、応急処置として1.を行い、その次の試験飛行までには可動式のテンショナーを完成させることにした。

2002年度中間報告

!2002年度中間報告

主翼班

後縁部製作について


* 材料 0.3mm プラ板
* 重さ 同じ長さのバルサ材とほぼ同じ。
* 翼との接着 髪の毛+瞬間接着剤
* プラ板はできるだけ大きいものを使う予定。

プラ板曲げについて


* 熱線を使って曲げる。
* 木に三角型の溝を彫ってプラ板を置き、上から熱線で押さえる。
* 木はバルサ、溝は彫刻刀で作成。
* 現在、間隔の狭いもの(3~5mm)で検討中。

プロペラ班中間報告

1.現在の作業内容

 目下、1号ぺラの設計作業と試作ぺラの製作を行っています。設計作業は、専用ソフトウェアを用いた空力設計はほぼ終了し、現在構造のたわみの設計に入っています。プロペラの教科書片手に指導してもらいながらの作業で、予定よりはかなり遅れていますが、なんとか進めています。

 1号ぺラの仕様は、半径;1.5m、内径;0.2m、ブレード数;2、回転数;2rps、リブ数;15、翼型;DAE51、取り付け角;1°(機速;7.25m/s、必要推力;34.67N)です。

 構造は、昨年までと同様、スキーストックの桁に朴の木のリブ、バルサの前縁・後縁、同じくバルサの外皮、熱収縮テープで覆う、というものです。

2.予定とのずれ

 当初の目標は、年内に1号ぺラを完成させることでしたが、年内は厳しくなっています。現在設計作業は、スキーストックの選定・加重試験、桁の根元部分のパイプの選定・スキーストックとの接合をある程度同時に進めないと、値を決められない部分があるため、とにかくスキーストックの購入から始めなければなりません。来週には購入することになると思います。よって、修正した予定としては、1月中に1号ぺラの完成を目指すことにします。4月に試験飛行を始めるころには、2号までの完成を予定します。

3.今後の予定

 2、でも述べましたが、とにかくスキーストックの購入をし、設計作業と平行しながら、加重試験も行っていきたいと思います。年内に、根元部分のパイプを接合して桁を完成させたいです。

 そこで得られた結果をもとに、2号ぺラで桁にカーボンを使うか検討し、場合によってはその時点で発注することになると思います。2号以降は、仕様が全く同じか、あったとしてもわずかに変更する程度なので、設計作業はスムーズに進むと思われます。

 また、カフスと呼ばれるカバーを根元部分に取り付けると、フェアリング付近に空気を効果的に送ることができるので、利益があると確認された場合は取り付けることも考えますが、それは当分先のことになります。

操舵班

エレクトロニクス班

 まず計画の概要について先に述べておく。計測器の開発は、もともと昨年度から大きく変更はなく、計画自体はそれほど大掛かりなものではない。プログラム等は使える部分をそのまま更新して使う程度に収めるというのが現在の方針である。とは言え、昨年度は実験すらできなかった超音波測距計による高度計についてはいくつかの実験が必要であり、またシステム全体の拡張性を考慮して通信システムを標準規格に準じて構成するという設計案もまだ捨ててはいない。

 そのような中で、中間報告を行うことにする。

作業の進み具合

 作業としては、9,10,11月は主に理論的な部分を固めることから始まるので、これといってハードウェアを製作するということはなかった。とは言え、高度計については回路がやや複雑で、まだ完全に理解しているというには程遠いというのが本音である。

計測分野において、各種センサーのハードウェア、同コントロールおよび測定用の電子回路を製作することになっている。現在3つのことを進めている。一つは高度計の動作および測定実験用回路を作ること。そしてプロペラ回転数計の測定用センサー実験装置の製作。さらに機速計の4号機を製作している。これらについては同時進行で進めないと、あとで大変なことになるのでということである。最低必要作業量はそれほどないのだが、回路やプログラムのデバッグを考慮すると、今後かなり多量の作業量が見込まれる。年内には高度計の回路を作り終え、テストに入りたいと考えている。

反省点

 自動車免許や多数のレポートのため、10月はなかなか作業場に出られなかったせいもあり、作業が思うように進まなかった。現在は週2日から3日出席する予定なので、集中力しだいではかなり進めることが期待される。作業の進行度としては、完成までの約10パーセントが終了したと考えられる。冬休みおよび春休みで作業を完了させ、試験飛行が始まる前に最終調整に入るためにも、もう少し頑張らないといけないと思っている。目標は、試験飛行が始まった段階で、すべてのシステムが完成していることである。