カテゴリー別アーカイブ: 試験飛行報告

2013年度第10,11回試験飛行報告(06.22,23)

先週22日(土)および23日(日)早朝に実施しました第10回・11回試験飛行について報告いたします。


1週間前の第9回試験飛行は、直前の天気予報判断で土日で決行に踏み切ったものの、残念ながら飛行場の現場で予報以上の激しい雨に見舞われ、1本も飛ばせないまま撤収となりました。昨年度までは飛行場に赴いたもののフライトを行えなかった場合、試験飛行の回数に含めませんでしたが、今年は諸々の混乱を防ぐため中止となった前回も回数として計上します。

今回は21日から23日にかけて連続試験飛行を行い、天気は両日恵まれ、無事フライトを行うことができました。

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2013年度第8回試験飛行報告(06.08)

6/7(金)夜から6/8(土)早朝にかけて第8回試験飛行を行いましたので報告致します。


今回は早稲田大WASAと電通大UECwingsと共同での試験飛行となりました。協議の結果、割り当てはF-tecは滑走路の北側400mを使用することとなりました。途中、2チームが解体に移ったため、最後(10本目)のフライトは北側600mを使い中距離試験を行いました。

本郷にて機速計の検証を行い、バグの原因だったロータリーエンコーダからのサンプリングレートを十分大きくして今回の試験飛行に臨みました。本郷にて風を機速計に当てて動作試験を行った結果、前回頭打ちとなった80程度より大きな値が出ていたので、機速計のデータは校正できたと考えられ、実際に試験飛行をしていく中で、機体の挙動に見合った機速が測定されていました。

2:15に組立を開始し、3:30に終了しました。その後全機組み上げの後以前から少しずれているのではと疑われていたラダーのニュートラルの調整をし、操舵試験を行い無事に終了しました。その後駆動試験を行い、パイロットの要望でプロペラのピッチ角を2°から0°に変更し、機体をフライトのスタート位置へと移動開始しました。

風は終始北向きの成分を持っていたので、すべてのフライトで滑走路中央及び滑走路中央より南側100m地点から北向き(10本目のみ)に向けて飛ばしました。


  • 1本目:走行試験
    後輪を交換したため、走行試験を行いました。まっすぐ走行して車輪に問題がないことを確認しました。

  • 2本目:中距離試験
    2
    https://www.youtube.com/watch?v=wAppWo84zD0

風は1時の方向から2.6m/sでした。機首を左に向けながらエレベータで浮上し滑走路から飛び出しましたが、ラダーとエルロンを使って滑走路に戻しました。着陸時にエレベータを戻すと機体は頭下げに降下しました。
回転数は90、対気速度は浮上直前が10m/sで浮上後は9.0m/sでした。

  • 3本目:中距離試験
    風は1時の方向から1.5m/sでした。ロールとヨーをエルロンとラダーで直しながら滑走しました。
    エレベータを機首上げ方向に短く数度切りましたが、浮上には至りませんでした。回転数は90、対気速度は10m/sでした。

  • 4本目:中距離試験
    滑走中に左にロールしていったため、すぐストップをかけました。風は1時の方向から2m/sでした。

  • 5本目:中距離試験
    風は1時の方向から1.5m/sでした。機体が浮く気配がなかったため、あらかじめ決めていたストップラインでストップの合図をかけました。回転数は100、対気速度は10m/sでした。

この日は機体が加速するにつれて右へヨーイングしていく傾向にあったため、ここで再びラダーのニュートラル位置を調整しました。さらに、ペラピッチを0度から0.5度としました。

  • 6本目:中距離試験
    風は1時の方向から1.1m/sでした。まっすぐ滑走してエレベータを短く入れましたが浮かず、ストップをかけました。回転数は100から徐々に90へ落ち、ストップ直前の対気速度は10m/sでした。

  • 7本目:中距離試験 (1時の方向から風速1.1m/s)
    最大回転数は100程、最大対気速度は10m/s程でした。安定に滑走するも、浮上には至りませんでした。

7本目の後に尾翼トリムを3度に変更しました。

  • 8本目:中距離試験(1時の方向から風速1.4m/s)
    最大回転数は100程、最大対気速度は9.5m/sでした。滑走中に左に大きく逸れるも、操舵で無事に戻せました。しかし浮上には至りませんでした。

浮上する気配が見受けられなかったので、後輪の車輪を変更し「迎角0.4度増し」の状態にセットしました。

  • 9本目:中距離試験(1時の方向から風速2.0m/s)
    91
    92
    https://www.youtube.com/watch?v=yidalchMUJ8

光学式回転数計が日の光の影響を受け、回転数が正しく計測できませんでした。最大対気速度は10m/sでした。プッシャーが一人機体を離した後に転倒するアクシデントがありましたが、幸い膝を軽くすりむく程度で済みました。今回は機体は浮上しましたが、浮上中に大きく速度を失い、高度をすぐに失ってしまいました。高度を失うと同時に速度も回復し再浮上し、2度目の着地の衝撃で、操縦桿、グリップの接着されたカーボンパイプのハンドルが取れてしまいました。幸い着地後だったので大事には至らずパイロット、地上員に怪我などはありませんでした。

10本目:中距離試(北西から微風)
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回転数のデータはとれませんでした。最大対気速度は10m/s程でした。
浮上後機体が右に逸れたのでラダーを左に切った直後ラダー、エレベーターの操舵が全く効かなくなり、エルロンも操縦桿のスイッチが物理的に故障し操縦不能に陥り、そのまま機体は左の少し丈の高い草の草地に入り込んでしまいました。幸いにもパイロット、グラウンドクルーに怪我はありませんでした。機体への損害自体も、プロペラの片方のブレードの損害を除けばほとんど見受けられませんでした。尚、機体を滑走路上へ戻した直後の操舵試験ではエレベーター、ラダーの正常な動作が確認されました。

分析により、故障の原因は老朽化したサーボの動作不良と発覚し、全サーボの買い直しを決定しました。尚、他にも操縦系統の電装類は各種ショート対策、操舵面一つ故障時に全て動かなくはならない様な対策を施すことを決定しました。次回以降、各フライト後の電装類の各部チェックも強化します。


今回のテストフライトを通して、琵琶湖での安定したフライトには、パイロットの習熟と最適なペラピッチ角、尾翼トリム角の調整がまだ必要と分かりました。来週の初期設定は今回の最終機体設定を踏襲する予定ですが変更される可能性もまだあります。

全フライトの動画は以下のリンクよりご覧ください。
2013年度 飛行理論実践委員会F-tec 第8回試験飛行

2013年度第6,7回試験飛行報告(06.01,02)

5/31(金)から6/2(日)にかけて第6回、第7回試験飛行を行いましたので、報告いたします。

6

今回は木曜日時点で、土曜日日曜日の天候が同様に不安定と予報されていたため、どちらか1日だけでも試験飛行を行うべく2連TFの予定で出発しました。

1日目は首都大学東京T-MIT、2日目は静岡大学ヒコーキ部と共同での試験飛行になりました。2日とも協議の結果F-tecは滑走路の北側500m
を使うこととなりました。

また、今回よりフライトの動画は機体が浮いたものに限って貼付けし、ログも追加しました。以前の試験飛行報告も順次変更していきます。
それ以外の動画に関してはページ下部にある動画リストへのリンクを辿っていけば見られます。

6/1(土) 1日目(第6回)

2:30に組立を開始し、3:40には問題なく完了しました。その後の操舵試験で、エレベータのトリムをいじると切れ角の中心位置がずれる事が判明しましたが、問題無いということでそのまま続行しました。また、操縦桿周りの配線の接触が悪く、エルロンを切った後ニュートラル位置に戻らない不具合が発生しましたが、ケーブルを差し直したところ正常に動作したので操舵試験を終了しました。これらの点は次回のTFまでに見直しを行います。


  • 1本目:走行試験(4:25~)
    回転数は最大100、機速は8でした。エレベーターのトリムは1.6度、翼位置は組み立て試験のときより55mm前とし、車輪は迎角1.8度増しのものを使用しました。

風は北東からの微風だったので、滑走路中央から北向きに飛ばしました。

滑走中に左へ逸れ、土手側の滑走路の凸凹がある場所に侵入しましたが、草地には入らずに済みました。
* 2本目:ジャンプ試験(4:37~)
1本目の後、南からの風が吹き始めたので、北端に機体を移動し南向きに飛ばしました。

回転数は最大で103、最大機速7.8m/sで、尾翼トリムはアップに3.2度へ変更しました。

スターティングメンバーの手から離れた後、機体が左にヨーして行き、その時点でパイロットがエレベーターを入れたため、機体が滑走路外に向かいました。このままでは機体が滑走路外の茂みやグラウンドクルーに正面衝突するとパイロットが判断したため、その場で高度を上げ右に舵を切り徐々に滑走路の中心へ機体を戻し、着陸しました。このフライトで、左翼が
2回滑走路外の木に接触しました。

幸いにもパイロット、グラウンドクルー共に怪我人はいませんでしたが、1
度目の浮上後のストップがかかった時点でエレベータをニュートラルに戻し、再浮上をしなければ草地に突っ込むだけで済んだのではないかとも思われます。

フライトの直後にチェックを行いましたが、損傷は軽微で左内翼の前縁部が割れたのみだったので続行可能と判断し、破損箇所にフィルムテープを貼り応急処置をしました。

このフライトで、パイロットの意識に対してエレベータの切れ角が大きくなってしまう傾向が見られたので、エレベータのゲインを25%に落としました。
* 3本目:ジャンプ試験(5:16~)
回転数は最大で100、 最大機速は7.8、トリムは3.7度でした。
エレベータのゲインを変更している間に風向きが北からに戻ったため、スタート位置を滑走路中央からに変更しました。滑走中に左にロールしたものの、ラダーで戻し、一瞬後輪が浮上しました。
* 4本目:ジャンプ試験(5:26~)
回転数は95(最大100)、 最大機速は8.0m/s、トリムは3.7度でした。

エレベータを入れるときにほぼ同時に左へロールしていると見られ、パイロットがエレベータを切るときに、操縦桿を微かに斜めに操作してしまっているためラダーも切れている可能性が上がりました。後のTFで操縦桿の感度に遊びをつけることにしました。

この後、まだ安定性が強いため重心を動かす余地があると判断し、翼位置を10mm前へ移動しました。同時にエレベータのゲインを25%から33%にし、トリムも2.6度へ変更しました。
* 5本目:ジャンプ試験(6:06~)
回転数は最大で93、最大機速8.1m/sで、トリムは2.6度でした。

スタート直後右にヨーイングしたので、パイロットがラダーで修正しました。結果左にロールしていったのでストップを掛けました。ストップの声が聞こえてから少しして機体が浮上し、ジャンプ、着地しました。

 

* 6本目:短距離試験(6:21~)
最大回転数は89、最大機速は8.3m/s、トリムは2.6度でした。
この回は終始横滑り、左へロールしていました。機体の挙動としては、エレベータを入れたことにより何度か前輪が浮いたものの、浮上はしませんでした。停止後焦げたような臭いがしたため機体をチェックしたところ、滑走中の横滑りにより後輪が融けていました。後輪を交換し7本目に進みました。
* 7本目:短距離試験(6:38~)
最大回転数73、最大機速は8.3m/s、トリムは2.6度でした。

プッシャーが離れた後から左に大きくロールして滑走しましたが、浮上する気配がなかったためストップを掛けました。6本目直前から、川からの横風がしだいに強くなっていく傾向にあり、その横風に煽られたと思われます。また、この回よりパイロットの疲労が顕著になり、回転数が落ちていきました。
* 8本目:短距離試験(6:50~)
最大回転数は70、 最大機速は8.2m/s、トリムは2.6度でした。

スタート後すぐに右にロールしたためストップをかけました。その際草地に少し突っ込んでしまいました。
* 9本目:短距離試験(7:03~)
最大回転数は68、 最大機速9m/s、 トリム2.6度でした。

左に大きくロールし、浮上する気配もないためストップを掛け、エルロンでロールを直した後停止しました。
* 10本目:短距離試験(7:14~)
最大回転数70、 最大機速8.2m/s、 トリムは2.6度でした。右に大きくヨーイングしたためストップをかけました。
10本目の終了直後に解体を開始し、8時までに無事撤収しました。
また、今回のTFの途中で新入生1名がめまいや立ちくらみなどの症状を訴えたため、グランドクルーから外し休息を取らせました。典型的な脱水症状で、水分及び塩分の摂取を怠ったことが原因と思われます。
TF参加者に水分摂取を行うようには指示をしたのですが、梅雨入りで喉の渇きを感じにくくなっていたことを考慮し、もっと強く勧めるべきであったと反省しています。

2日目 6月2日(日)

2日目も2時半に組み立てを開始し、2時40分に終了しました。機体の最初のセッティングは1日目の終了時と同じにしました。エレベーターのトリムは機首上げ方向に2.6度、翼位置は4月の組み立て試験時より65mm前です。

風は主に北側から吹いていたため、9本とも北向きに飛ばしました。


* 1本目:短距離試験(4:29~)
回転数は最大100、対気速度は最大8m/s、北からの風2m/sでした。滑走時に左に逸れ、浮上後に滑走路から飛び出しましたが、操舵で戻しました。
7-1

このフライトでチェーンのテンショナーのバネが外れたので、テンショナーにかかる力を小さくするためにばねを長いものに交換しました。また、エレベータのトリムは機首上げ方向に2.1度に変更しました。

* 2本目:短距離試験(4:50~)
回転数は最大100、対気速度は最大8m/s、北風0.6m/sでした。エレベータを入れて機首上げ状態のまま飛行しました。ここまで滑走路は北側400m
を使用していましたが、3本目以降は距離を100m伸ばし、中距離試験を行いました。
7-2

 

* 3本目:中距離試験(5:00~)
回転数は最大100、対気速度は8m/s、北風1.2m/sでした。フライトの挙動は2
本目とほぼ同じで、インパルスでの浮上後、エレベータを入れている間は頭上げで飛行するも、ニュートラルにすると機体は頭下げに高度を失って行きました。
7-3

 

* 4本目:中距離試験(5:13~)
回転数は最大90、対気速度は8m/s、北風1.9m/sでした。つり合い飛行時の迎角を減らし速度をより出すために尾翼トリムはアップ1.5度にしました。機体がプッシャーから離れた直後に左にロールし、草地の方向へそれたため、インパルスで短期間浮上したものの、すぐにストップをかけ着地しました。
7-4

* 5本目:中距離試験(5:22~)
回転数最大90、対気速度は8m/s、尾翼トリムはアップ1.5度でした。今回も4
本目同様、機体がプッシャーから離れた直後左へロールし、浮上前にストップをかけました。

この時は北から約60度の方向から0.1~0.2m/sの微風があったのみで、風がロールの原因ではなさそうでした。
* 6本目:中距離試験(5:29~)
回転数最大90、対気速度は最大8m/s、北風1.9m/sでした。示した挙動は2、3
本目とあまり変わらず、エレベータを入れている間のみ頭上げで飛行し、戻すと高度を失いました。パイロットの疲労が少し見られ、回転数は低めでした。
7-6

 

この後、パイロットの要望によりペラピッチを2度から1度に変更。更に、地上滑走時の抵抗を減らし滑走時の加速を増やすため、前輪を今までの迎角を1.8度上げるものから1.4度上げるものに変更しました。
* 7本目:中距離試験(6:05~)
回転数最大90、対気速度は8m/s、北風は0.3m程度でしたが、東風が1m/s程ありました。インパルスを入れるも、回転数が足らず浮上には至りませんでした。停止時に、後輪のゴムのタイヤが焦げる異臭が少ししました。機速計では反映されていなかったものの、プッシャーによると、地上での加速は以前より増した様で、GPSの対地速度計では8.6m/s程と観測されていました。

* 8本目:中距離試験(6:13~)
7本目と同じセッティングを維持しました。回転数最大90、対気速度は8m/s、北風0.6m/sでした。
7本目とほぼ同じ挙動を示し、浮上する兆しがなかったため、この後再び前輪を迎角1.8度増しの物に戻しました。

* 9本目:中距離試験(6:34~)
回転数最大100、対気速度は8m/sでした。
スタート直後に再び左にロールしたため、ストップをかけました。東風が1.9m/sで、事前に決めていた2m/s以下ではあったため行いましたが、この結果を受け次回は真横から1m/s以上の風が観測された場合は風を待った方が良いと結論付けました。
この後、ペラピッチを2度に戻しました。更に車輪のチェックで、後輪のゴムのタイヤの左側が著しく削れていたことが発覚したので交換しました。尚、全体的に滑走直後に左に機体がロールする傾向が見受けられますが、車輪交換直後も起きていることから、車輪の原因である可能性は低いと思われ、左右の翼の揚力差又は剛性差、風の影響又はエレベータの取り付け角度のずれなどが原因として考えられます。

ペラピッチ変更後の駆動試験で前部からカリカリという異音が聞こえたため一度回転を止めました。原因はペラハブのホースバンドの緩みであると分かり、締めなおした後異音は消えました。

この後、風速3m/s以上の東風が続いたため、風待ちをしましたが止む気配はなかったため、7:11に撤収を開始しました。


今回のすべてのフライトで、高速域で対気速度計が回転数とは相関無しに常に最大で7.8m/s~8m/sを出力していました。本郷で動作試験を行ったところ、バグにより風速7.8m/s以上は正常に表示されない事が発覚し、修正しました。しかし、グラウンドクルーが走って難なく追いつけて機体をキャッチできていることから、対地速度は昨年度の機体と比較しても遅いと考えられます。

今回のTFでは2連でパイロットの疲労も垣間見え全体的に推力不足でないかとの意見も出ており、合わせてプロペラの推力及び機体抵抗の見積もりの確認も検討しております。
次回のセッティングは今回の結果を熟慮し、木曜日に決定する予定です。


今回の試験飛行の動画はこちらにアップロードされています。

第6回試験飛行

第7回試験飛行

13第4,5回試験飛行

5/24(金)~26(日)にかけ、13年度第4回,第5回目の試験飛行を行いましたので詳細を報告いたします。


5/25(土)  1日目(第4回)

前回の試験飛行での事故後の各種安全点検、修理により中止も検討されていましたが、可能な限りの対策と準備は完了したと判断したので、5/24~26に二日連続で試験飛行を行いました。

胴体・コックピットに対し翼胴接合部及び翼全体がロールしてしまう対策として、U字マウントを立体的に拘束するため前部胴体桁にU字マウントが丁度入るようなボックス構造を接着し今回のTFに臨みました。また、リアスパマウントの接着部の強度は追加の構造材やクロスで大幅に強化し、テストピースの荷重試験で強度が増したことを確認しました。

これまでCFRPと木材のサンドイッチ材を元に作成していたリアスパ-胴体接合、迎角調整用の「おにぎり」もアルミ製に変更し、翼がコックピットに対して回転しようとする際に生じる力に対する剛性を高めました。

尚、改修した翼同マウントは本郷で翼胴接合を行う時間が無かったため、今回の試験飛行の組立の集合前にコックピットと中央翼で接合確認を行いました。その際ボックス構造と中央翼桁側のマウントが1mmほど干渉したので、翼桁側のマウントを紙ヤスリにてやすり、再接合したところ無事に接合することができました。これにより組立前の集合時間が20分程遅れてしまいました。この処置の必要性は出発前に想定されていましたが、問題が発生しても滑空場で対処できると考え、試験飛行を一回遅らせる程ではないと判断しました。

その後、組立は順調に終了しましたが、3:30頃に行った駆動試験中プロペラから異音が発生し、チェックを行ったところプロペラの外皮の継目で亀裂が入っており、テープで補修して駆動試験を行った結果異音は収まりました。そのため、フライト一本目の開始は5時55分と予定より1時間以上遅くなってしまいました。日の出の数十分前から5時頃までは安定して微風でフライトを行うには絶好の条件だったので、この時間を有益に使えなかったことは悔やまれます。今回の翼胴マウント及びプロペラのトラブルは事前に大学で接合試験、駆動試験を行えば未然に防げたことであり、作業日程の甘さは反省していかねばなりません。

尚、前回の事故に対して補修及び補強を施したため、重心位置が以前に比べて前後することが懸念されましたが、重心測定の結果位置の変化はほぼないと判明しました。その為、翼位置は前回の位置に設定し挙動を見ていくことにしました。

土曜日は時間によって吹く強い東風を除けば、北からの微風がずっと続いていたので、フライトは毎回滑走路中間点から北向きに飛ばしました。


1本目:走行試験
最大機速は8.2m/s、 回転数85で車輪は「迎角+1.8°」の物、尾翼はアップトリム1°で行いました。
プッシャーの力のバランスと風によって右にそれ始めたのでストップをすぐにかけました。

2本目:ジャンプ試験
最大機速は8.0m/s、 回転数は80で車輪及びトリムは変更しませんでした。
エレベーターによるインパルスは入れませんでしたが、風に煽られたためラダーとエルロンの操舵量は若干大めでした。尾翼トリムの影響により後輪は浮上が確認されたものの、胴体が水平に至るほどではありませんでした。
後輪浮上後2秒でストップをかけました。この滑走と重心測定の結果から、まだ十分前に重心位置があり、後ろに動かす余裕があると判断しました。

3本目:ジャンプ試験
最大機速は8.0m/s、 回転数80程でした。
飛行中機体の過剰なヨーを察知したスタメンが後部支柱を掴んだのでストップをかけました。また、滑走後半でチェーンが外れてしまい十分に加速できませんでした。

4本目:ジャンプ試験
飛ばず前に、スタメンがロガーの記録用SDカードを入れ忘れたと誤解し一度ストップがかかりました。テストフライト終了後に確認するとログが途中で途切れていることが判明しました。最大は機速7.0~8.0(予測) で回転数75以上と思われます。右にそれたのは風とプッシャーの癖が原因と思われます。


4本目が終わった時点で東側からの強風(風速7m/sを観測)が止まない状況が続き、風を待ってもフライトする時間がないと見込まれたため、機体の風上に機体運搬用のトラックを配置し風除けしつつ、撤収しました。撤収時も強風が収まらず、現役メンバーにも人的余裕が無かったため、キャリアの運搬や保持をOBさんに手伝ってもらう事態になってしまい誠に恐縮です。

滑走時に翼持ち担当者が右にロールする力を常に感じたとの報告があり、翼胴が最初から若干右にロールしていたことが原因として疑われました。

プロペラについては2週後を目処に外皮の強度面を見直した2号ペラの完成を目指します。

5/26(日)  2日目(第5回)

2日目は部員の疲労を考慮し、また1日目に行った重心測定では今までと比べ、特に大きな変化は見られなかったので、重心測定を省略し、組立開始時刻を遅らせました。1日目の電装ログでしばしばフライト後半が記録されていないという問題がありましたが、その原因はSDカードにデータの書き込みが終了する前にすぐにカードを抜いてしまっていたことであると判明しました。以降SDカードの抜くタイミングを遅らせることによりこの問題は解決しました。

組立後のプロペラ回転試験で、異音は確認されませんでしたが、1日目にはなかった新たな表面のヒビが確認されたため、1日目と同じように接着剤とフィルムテープで補強を施しました。

2日目は800m滑走路の北半分をTeam ‘F’, 中間帯にエアロセプシーが記録飛行待機、南側半分をF-tecとWASAが交互に使用するという非常に込み合った使用状況でした。

以下で詳細なフライト内容を記載していきます。なお、対気速度と対地速度は計器の出した数値をそのまま記載していますが、対地速度は対気速度に比べて信頼性がありません。


1本目:ジャンプ試験
風は北側から吹いていたため、5本目までは滑走路の南端から北向きに飛ばしました。1日目の2本目のフライトから、機体は依然として安定側に入っていると判断したため、主翼を1日目よりさらに15㎜(4月の組み立て試験時より45㎜)前に出し、エレベーターのトリムは0度としました。回転数は最大100、対気速度は8m/s、対地速度は9m/sでした。安定して直線的に滑走し、前輪は浮かずに後輪がわずかに浮きました。
https://www.youtube.com/watch?v=CYqMLximEz
2本目:ジャンプ試験
2本目はエレベーターのトリムを1度アップに入れました。回転数は最大98、対気速度は8m/s、対地速度は9.5m/sでした。
滑走路の左にそれたためストップをかけましたが、その際にフェアリングのドアが外れて落下しました。
ドアはマジックテープでフェアリングに留めてありましたが、3本目以降は、これに加えて養生テープでドアを固定しました。

頭下げの姿勢で後輪が数回わずかに浮いてバウンドするような挙動を見せたので、3本目はエレベーターのトリムを1度増やし、アップに2度としました。

3本目:ジャンプ試験
回転数は98、対気速度は最大8m/s、対地速度は最大10m/s、尾翼トリムはアップに2度で、インパルスを使用しました。
結果、インパルス入力直後、後輪浮上前に前輪から頭上げに両輪が浮上しました。浮上後、パイロットがインパルスを解除し、尾翼初期トリム位置に戻すと、直ぐに着地しました。結果、まだ頭下げモーメントが強く、重心は十分安定側であると確認でき、まだ翼位置を前へ移動する余裕があることも確認できました。

4本目:ジャンプ試験
回転数は最大95程、対気速度は最大7m/s、対地は8m/s、尾翼トリムは1度上げてアップに3度、翼位置は引き続き45mm前でインパルスを使用しました。
前回のフライトでストップのタイミングが少し遅れ、停止に時間がかかったことから、今回はパイロットにインパルスを早めに入れる様指示したところ、操舵に意識が行き過ぎ、ペダルを漕ぐことに集中できずに十分な機速と推力を得られませんでした。

5本目:ジャンプ試験
4本目の後、代表・設計・パイロットの3人で話し合った結果、翼位置を更に10mm前に出し、トリムを1.6度に変更することにしました。20分弱かけて設定の変更を行い、そのあと他チームとの兼ね合いで30分ほど待機し、フライトを開始しました。5本目のフライトは、南東から2m/sの背風の状況でしたが、他チームとの配置転換の手間や残り時間を考慮し、4本目までと同様、滑走路南側より北向きに機体を飛ばしました。フライト内容としては、滑走時に右側にヨーイングしていったためストップをかけました。またその際、右からの横風、草地と滑走路の境界でのバウンド、ラダーを左に切ったことなどが原因で左に大きくロールし、左翼を激しく擦り、また左最外翼を支点にほぼ180°回転しました。最大回転数は100、最大対気速度8.1m/s,対地9.2m/sでした。

幸いグランドクルー・パイロットともにけがはありませんでした。

6本目:ジャンプ試験
設定は5本目と同じでした。5本目から変わらず南東からの風があったため、機体を滑走路中央まで移動し、南向きに飛ばしましたが、機体が左にそれたためすぐにストップをかけました。原因としては、風による風見とスタメンの習熟が問題であると思われます。回転数95、機速対気8m/s、対地10m/sでした。

7本目:ジャンプ試験
6本目の後、機体を滑走路400mラインまで戻し、撤収時間が迫っていたため、すぐに南に向け発進しました。6本目同様、滑走時に左にそれていったため、ストップをかけました。また、ストッパーが力を下向きに入れすぎたため、キャッチ時に前輪が浮きました。

https://www.youtube.com/watch?v=dt0IFN6zW8k

今回のテストフライトで、以前からOBの方々から指摘されていた、指揮や情報伝達の不備による時間のロスに改善が見られました。

なお、機体が発進直後に大きくロールやヨーしてしまう主原因として風が挙げられますが、プッシャーやパイロットの修練不足も影響しています。回転数や機速のログ、機体の挙動から判断して、プッシャーは機体を離す直前まで一瞬でも長く機体をまっすぐ保つように努め、地上で離陸速度になるべく早く達せるように、パイロットは操舵だけでなく、回転数を落とさないことにも注意する必要があると結論付けました。

日曜日の5本目で地面に擦った翼の損傷は軽微で、翼胴マウントにも異常は見られなかったため、今週末も試験飛行を実施いたします。

次回のテストフライトのセッティングは2日目の最終セッティングを維持し、インパルスありのジャンプ試験を1本目に行う予定です。


今回の試験飛行動画はこちらにアップロードされています。

第4回試験飛行(1日目)
第5回試験飛行(2日目)

2013年度第3回試験飛行報告(05.12)

 

5/11(土)~12(日)にかけ、13年度第3回めの試験飛行を行いましたので詳細を報告いたします。

今回のTFは金土で雨が降っていたため、土日に実施日を変更しました。
組立中も霧雨が続き、機体に水滴が多量に付着していたため、
重心測定は中止しました。夜明け直前になって無事雨は止み、
少々風は強かったもののテストフライトを中止するほどでは
なかったため実施しました。
今回も低い機速から機体を浮かせるため、迎角を1.8度増す大径の前輪を
1本目から用いました。
今回は風が南から吹いたため、機体を滑走路の北端に移動してから、
南へ向けて試験を行いました。


1本目:ジャンプ試験
翼位置は前回のTFの最終回より更に17mm前(組立試験時の理論値
よりも30mm前)、尾翼トリムは0度でした。スタート直後に風にあおられ
左にロールしたため、直ちにストップをかけました。

その後風が強い時間が続いたため、風待ちを20分ほど行いました。
待機中にチェーンが2度外れたため、テンショナーのバネを
より短い物に交換しました。

2本目:ジャンプ試験
スタート後、風にあおられ再び機体が左にロールすると同時に
主翼の主桁を固定するU字マウントが胴体桁周りにロールし、
曲げに耐えられなくなったリアスパマウントの根元の
接着部がパテおよびロービングごと剥離してしまいました。その結果、主翼は主桁マウントを中心に
頭下げに回転、胴体桁に中央翼の前縁がめり込む形になり、
機体も発生した抵抗により右翼端を擦りながら急停止しました。

その後のテストフライト続行は不可能になったため、その場で撤収になりました。


幸運なことにパイロットを含め怪我人はいませんでした。しかし、飛行中にこのことが起きれば間違いなく悲惨な被害が出ていたはずであり、あってはならない事故が起きてしまったと言えます。
今後は、このような事故が二度と起こらないように反省しなければなりません。

今回のクラッシュでの主な機体破損個所は以下の通りです。
中央翼の中央部の前縁、及びプランクの割れ
中央翼-左内翼のL字接合部の破断
中央翼と内翼のブレーシングの緩み
中央翼-左右内翼のリアスパ接合金具の脱落
主翼のリアスパマウントの接着部の剥離
座席の座面に用いたスタイロの割れ

及び随所での全翼に渡る二次構造の破損とフェアリングの少々の傷みです。
幸いにも翼の主桁を含む一次構造、胴体桁、プロペラ、各種電装類には被害はありませんでした。

今回の事故の原因は胴体-主桁マウントにかかるロール方向の力の見積もりの甘さに有ったと考えています。F-tecでは今年から翼桁の片持ち化を行い、上部張線及び下部張線を廃止しました。このため、今年の機体では例年に比べかなり大きなモーメントがマウントにかかることが予想されました。
そこで、今年のマウントではロールに対する補強を行なっていましたが、対策としては不十分であり、今回のフライトで強い横風に耐え切れず、結果として上記のような事故が起こりました。

今後は胴体・主桁の接合部分の構造を根本的に見直しつつ、破損箇所の修復を行います。
十分な安全性が確認でき次第、次回TFを行う予定です。


今回の試験飛行の動画もYoutubeのF-tecチャンネルに投稿されています。以下の再生リストより御覧ください。

F-tec 2013/05/12 第3回試験飛行

2013年度第2回試験飛行報告(05.04)

今週は先週より若干風の強いものの、快晴で天候に再び恵まれました。

TF出発直前に、エルロンの動作不良が発見されるも、基盤の交換、取付け方法の見直しにより、積み込みには無事間に合いました。基盤上でのはんだ付けの不備、又は操縦桿への過負荷による基盤の変形によるショートが原因であると考えております。

滑空場で機体組み立て後の操舵試験でラダーが逆に動くのが判明しましたが先週同様その場でプログラムを修正しました。重心測定の結果、機体総重量は先週より約200g増しになっていましたが計算の結果、重心位置は1mmも変化していなかったため、先週の6本目と同じセッティング(翼位置は4/20の組立試験で求めた値のまま、今回のジャンプ試験を始めることにしました。

尚、先週チェーンが何度か外れるトラブルがあったため、今回はチェーン長さを詳細に測定し直し、チェーンを2ピッチ縮め、それに伴いテンショナーのばねも変更したところ、チェーン外れのトラブルはだいぶ改善されました。翼胴マウントが胴体桁の周りを僅かに回転してしまう問題も、マウントの接触部分の拡大、滑り止め材の変更、接着の見直しにより解決しました。

更に前回のテストフライトでエルロンの効きが良すぎると懸念されたため、切れ角を減らしエルロンの可動域を+5~-6へ変更しました(前回の正確な切れ角は測定しそびれたので不明ですが、約7度と予想されます)。尚、パイロットの操作性を上げるため、ゲインを1/3に減らし、今回は作業場で実際の操縦桿への入力に対する切れ角の度合いをパイロット本人に確認してもらいました。


1本目:走行試験
使用した車輪は先週走行試験の実施しなかった「迎角1.4度増し」の車輪。
最大回転数は80程、最大機速度は約7.8m/sで尾翼の初期トリムは0度で行いました。
両輪浮上はせず滑走路右にそれて停止するも、車輪に異常は見つかりませんでした。

2本目:走行→ジャンプ試験
使用した車輪は先週の最後と同じ「迎角1.8度増し」の車輪。
最大回転数は約80から徐々に100まで上げました。最大機速度は7.5m/s程。後輪が微かに浮上したと確認されました。滑走中に北東(正面右)からの風により機体が大きく左に逸れ、パイロットの操舵が間に合わず滑走路脇の草地に入ってしまい、チェーンが外れましたが幸運にも機体に損傷は見受けられませんでした。

3本目:走行→ジャンプ試験
車輪は2本目と同じ物。今回は尾翼トリムをアップに1度入れました。回転数は約75から110まで徐々に上げて行きました。機速は約7.6m/s。また北東からの風に見舞われ、後半で後輪は浮くも、前輪は浮かないままほんの少し編流飛行気味になりました。グラウンドクルーのストップの声がパイロットに届かず停止が遅れ、再び草地に入り込みチェーンが外れてしまいましたが奇跡的に今回も機体に損害はありませんでした。このジャンプ試験の前半でエルロンでロールを直せている事が確認でき、切れ角とゲインのバランスの先週からの改善が確認されました。

4本目:ジャンプ試験
車輪は変更せず、トリムもそのままで、パイロットの要望によりペラピッチを1.2度から2.0度へ変更し、チェーンを更に2ピッチ詰めました。回転数は約120で行い、機速は約7.8m/sでした。プッシャーの押し方と風の影響でスタート後すぐに右に大きくそれ、操舵も間に合わず草地に入ってしまいました。機体への損傷はありませんでした。後輪の浮上がはっきり確認できましたが、機体が水平には至りませんでした。

5本目:ジャンプ試験
Team ‘F’さんとの兼ね合いにより4本目の停止位置からスタートしました。回転数は約110で機速は約7.8m/sでした。4本目とほぼ同じ挙動を示したためすぐにストップをかけました。チェーンのピッチを詰めたことによりテンショナーのプーリーに力がかかり何度かオーバーセンターをしました。

6本目:ジャンプ試験
車輪、トリムは変更せずに行いました。回転数はオーバーセンターをしないように40-50で先に回しつつ、走行中は120へ上げました。機速は7.8m/sでした。ラダーの操舵が甘く、草地に再び入ってしまいました(尚機体損傷はなし)。パイロットにラダーは今回よりもより持続的に入れる様に指示しました。

この後一度滑走路から機体を離し、Team ‘F’さんの800m飛び切りの間に翼位置、トリムを調整及びテンショナーのばねを短いものに変更し、再開しました。

 

7本目:ジャンプ試験
車輪はそのままで、翼位置を13mm前へ移動し、エレベーターのトリムを0度に戻しました。回転数は約110,機速は約8.0m/s程でした。風により、大きく左にロール、ヨーイングを起こしましたがラダーを長めに切り修正し3本目より激しく前輪のみ滑走路に着いた状態で編流飛行の様な滑走になってしまいました。

8本目:ジャンプ試験
車輪はそのままで尾翼トリムを更に1度アップで、計2度アップに設定しました。回転数は約110で機速は約8.0m/sでした。再び左に大きくロール、ヨーイングを起こし、草地に入ることを恐れすぐにストップをかけましたが、適切な操舵により真っ直ぐの安定滑走に戻りました。序盤でパイロットが操縦桿に力を入れ過ぎ、操縦桿の固定部の接着が外れかかった状態になってしまいました。

操縦桿の接着部の破損で時間の兼ね合いから今回はこれで撤収にしました。全体的にまだ重心位置は前で安定側に入りすぎているので次回は翼位置を更に17mm前(組立試験の結果より計30mm前)で尾翼トリム0度でジャンプ試験を開始しようかと検討しております。


今回の試験飛行の動画もYoutubeのF-tecチャンネルに投稿されています。以下の再生リストより御覧ください。

[F-tec 2013/05/04 第2回試験飛行]

2013年度第1回試験飛行報告(04.27)

1st

4/26(金)~27(土)にかけ、13年度初めての試験飛行を行いましたので詳細を報告いたします。

組立時は少し風が気になる程でしたが、フライト時には北からの微風かつ快晴という好条件でした。
初回の試験飛行につき組立、操舵試験、重心測定、翼位置の変更に時間がかかると見込んで余裕を持って1時20分に組立を開始しました。そして、3時前には組立が完全に終わり、そこから操舵・駆動試験および重心測定をし、測定の結果、翼位置は大学での荷重試験から決めた位置から動かさないことにしました。詳しくは後述します。また、操舵試験中に操舵のプログラムに問題が発生しましたが、後述するように書き換えを行い解決しました。
重心測定後はメンバーのアップおよび休憩時間をとり、日の出の20分前の4:40頃に機体の移動を開始しました。


今年は設計機体速度が9.5m/sと滑走路上のスタメンによる加速のみでは必要速度まで加速出来ないと判断したため、縦の安定性の確認のためにも、低機速で一度機体を浮上させるため、インパルスによる離陸か、主翼設定迎角の変更が考えられました。
その結果、パイロットがまだ未熟である内はインパルスによる離陸は望ましくなく、胴体桁に対する迎角を変更するのはトリムや重心位置を合わせた後また本番用の迎角に調整する手間が発生するため、主翼取付け角自体は変更せず、前輪に高さの違うものを用いることによって離陸時の迎角を増加させる案を採用しました。

用意した車輪は4種類:通常車輪(大会本番で使用予定)の「迎角0度増し」の物、黒色の車輪で「迎角0.9度増しの物」、茶色の車輪の「迎角1.4度増し」の物、青色の車輪で「迎角1.8度増し」の物。尚今回は「迎角1.4度増し」の車輪は使用しませんでした。初期のテストフライトでは大きめの車輪を使用し、とりあえず機体を離陸させ安定性を観察して重心を合わせるとともにパイロットの習熟を図り、シーズン後半で出来れば通常車輪でインパルスを用いた離陸を行いたいと考えています。

更に今回の機体では、去年車輪に直接取り付けるブレーキが強すぎ、使用できなかったことから、着陸後に機体速度を低下させるブレーキの新たな案として、実験的にエルロンブレーキを実装しています。実態は両エルロンを同時に6度程頭下げに切るスイッチを操縦桿の反対側のグリップに装着したもので、通常車輪使用時、翼端の迎角が約0度から下がることで全機体抵抗を約1.1N増加させられます(空中での全機体抵抗は約24N)。なお、今回のテストフライトでは撤収時間が迫っていたため試用しませんでした。あくまで実験的な装備であり、コンテスト本番ではもちろん取り外す予定です。

今回のテストフライト前の組立時、操舵試験でエルロンの効く向きが逆であり、エルロンブレーキが動かないことが判明。書き込むプログラムを間違えていた様なのでその場で修正しました。しかし何度か操舵試験をしているうちに右のエルロンがニュートラルに戻らなくなるトラブルが発生。その場しのぎの策として、右側のもエルロンに初期トリムをつけ対処しました。帰還後、リンクの2本のネジの過度の締め付けによってサーボホーンのなめりが原因と発覚しました。

今回の重心測定の結果、大学での組立試験時よりも60mm翼位置を前に動かすのがよいという結果がでましたが、想定していたよりも余りに差が大きかった上、組立時に風が少し吹いていたこと、初回であることを考慮し、安全側の大学での値を採用しました。また、機体重量が設計想定時よりも1.5kg程軽くなっていたため、翼の取り付け迎角を3.2°から3.0°に変更し試験飛行を実施しました。


1本目:歩行試験
使用した車輪は「迎角の0度増し」、即ち通常仕様の車輪。 回転数は約60rpmで実施。 何本か非常に距離の短い物を行った 途中、回転数計、チェーンが外れる等のトラブルに見舞われたが、テンショナーのバネを更に短い物に変更しチェーンのたるみを解消。 他に、スタメンの押し方の問題から何度か左右に進路がずれることがあったものの、車輪自体に問題はなし。

2本目:走行試験
試験前に回転数計の電源の入れ忘れに気付いてストップをかけ、入れ直してから実施。 使用した車輪は「迎角0度増し」の物。 回転数は約70~80で実施。 特に異常は見受けられず。

3本目:走行試験
使用した車輪は「迎角0度増し」の物。 回転数は約70-80で実施。 発進後右にロールした。 停止後翼胴接合がずれているのがはっきりと視認出来る程になっていた(右翼下がり)ので、接合を修正すると同時に車輪を変更(前輪)

4本目:走行試験
使用した車輪は「迎角0.9度増し」 回転数は約70-80で実施。 今までより大きく上反が付く程まで加速したものの浮き上がりはせず。 また機体は右にそれて停止。 車輪から異音と見受けれられる大きな音を確認したが、点検したところ問題は無かった(素の車輪の音)。この車輪は他の車輪よりも走行抵抗が大きい懸念が出た。 試験後車輪を変更

5本目:走行→ジャンプ試験
使用した車輪は「迎角1.8度増し」の物。 回転数は約90-100で実施。 機速計での最大速度は約8.2m/s 最初の方で走行試験を実施し、問題が無さそうであったのでそのままスタメンの全力疾走へと移行しジャンプ試験を行った。機体は左へ逸れ、後輪が浮くのをはっきりと視認。パイロットがエルロンを一瞬右へ切ったところ機体が大きく右へ逸れ、滑走路の中心を超えて停止。エルロンの効きが少し良過ぎると判明。パイロットと複数の目撃証言から、前輪が本の微かに浮上していたと判明。

6本目:ジャンプ試験
使用した車輪は「迎角1.8度増し」の物 回転数は約100-120で実施 機速計での最大速度は約8.2m/s 又後輪から浮き、続いて一瞬前輪が浮くのを確認。 パイロットが一瞬エルロンを使い、右へ切った後、切り過ぎたと感じたため左へ切ったものの機体が反応せず。停止後、右エルロンが頭下げの位置で固定されてしまっており、動かなくなっていたことが判明。後の検査で、サーボのホーン(プラスティック)の歯のなめりが原因と判明。このサーボは去年から引き続き使用していた物である。該当するパーツをアルミの新しい物に次回以降変更することに決定。


6本目の結果、フライトを続行することはできなかったため、予定より少し早めでしたが6:40に解体を開始しました。解体自体は特に問題なく終わり、7:55には滑走路から撤収しました。

次回の試験飛行での調整方針は今回の結果を熟考して木曜日のミーティングまでに決める予定です。

試験飛行の動画はYoutubeのF-tecチャンネルに投稿されています。第一回の動画は以下の再生リストより御覧ください。

F-tec 2013/04/27 第1回試験飛行

12年度第9回(最終)試験飛行報告(7/8)

12年度第9回(最終)試験飛行報告(7/8)

IMG_1513

今回は夜中まで断続的に雨が降り、天気が心配されましたが、夜中に一度雨が降った後は雨が降ることはありませんでした。
組立は2:10に開始し、3:20にラダーを除いて組立を終えました。今回は東風が強かったので、ラダーの組立は、風が収まるのを待ってから行いました。風の影響と、曇りで明るくなるのが遅かったことから試験開始は4:30ほどとなりました。

今回のTFは、早稲田大学と静岡大学との合同となりました。


  • 発進練習 1,2本目

日が明けた段階で、フライトを行えないくらいに横風が強かったため、最後に予定されていた大会時のプラホ上での発進練習を最初に行うことにしました。


1本目では、プッシャがオーバーランしたり、ひざを擦ったりしました。2本目ではもう少し助走距離を短くすることを意識しました。

2本目なのですが、発進直後にプロペラハブが破損し、プロペラが落下しました。即座に機体を停止させたためけが人や機体へのプロペラの衝突はありませんでしたが、プロペラの外皮が地面にたたきつけられて損傷しました。ハブとプロペラは、予備のものを持ってきていたので、それらに交換して試験を続行しました。交換中に徐々に風が収まってきたので、交換後は400mのフライトから行うことにしました。

  • 1本目:中距離試験(400m)


9-1

北からの風が3m/sほどで吹いていました。若干東よりの成分があったので、滑走路をまっすぐ飛ぶ練習としました。8.0m/sに達したところでエレベータで浮かせました。浮上後ラダーでうまく偏流飛行できていますが、途中少し流されるタイミングがありました。最後までエレベータで持ち上げる感じとなっていて、機速は7.5m/sあたりでした。

  • 2本目:中距離試験(400m)



9-2

浮上直後はラダーでまっすぐ飛んでいましたが、少しだけラダー・エルロンを左に入れたところ大きく流されていきました。流されはじめてからは断続的に右に切って中央に戻そうとしましたが、ややオーバーコントロール気味でS字状の軌跡となりました。最後は指示を元に滑走路のほぼ中央に降りましたが、風の方向に頭を向けて着地したため、そのまま草地の方へ走っていって止まりました。

  • 3本目:長距離S字試験(600m)


9-3

静岡大学が撤収を決めたため、滑走路北側600mを使用させていただくことになりました。このため、3本目からは600mを使用し、エルロンとラダーを使用したS時飛行の練習をしました。浮上後ラダーで滑走路に対してほぼまっすぐに飛んだ後、軽く左に切って滑走路左に流されました。この後エルロンとラダーをフルに入れ、右→左に旋回し、姿勢を戻して着地しました。

  • 4本目:長距離S字試験(600m)




9-4

8.0m/sあたりでエレベータにより浮かせ、そのまま左へ流されていきましたが、ラダーで風に正対する方向に向け、滑走路右側まで行きました。その後左にフルラダー・フルエルロンで4秒ほど切ったところ、大きくバンクがつき旋回しました。このとき大きく高度を下げると同時に左に横滑りしました。パイロットによるとこのとき「揚力がすっとなくなるのを感じた」とのことで、失速の一歩手前だったかもしれません。その後は姿勢を立て直し、左に行き過ぎたため右に切って滑走路中央へ戻しました。

  • 発進練習 3本目

4本目のフライト後、5本目のフライトに向けて機体を移動する際に、発進練習を再度行いました。今回は大きな問題もなく、規定の距離までにスタメンが機体を離しプラホ上で発進できることを確認できました。

  • 5本目:長距離試験(750m)



9-5

滑走後に機体が右に向いてゆき、そのまま草地へ突っ込んでストップしました。草地に入る瞬間に機体に大きく衝撃が加わり、翼が前後に大きくたわみ、ラダーがしりもちをつきました。停止時の衝撃でパイロットはコクピットから投げ出され、フェアリングが中破しました。また、停止直前に下部張線に人が接触し、ひざをすりむく怪我を負いました。二人とも幸いにも軽傷で済んだものの、一歩間違えば大惨事につながりかねない、きわめて危険なフライトでした。

風が東よりで滑走中に左にロールしたのを滑走中の操舵で戻そうとしたものの、回復せずに機首が右を向き、プッシャが異変を感じストップをかけたものの、長距離試験のためグラウンドクルーが配置されておらず、とっさの状況でパイロットが草地への進入を回避することもできずに、事故に至ったものとみられます。

背景として、時間制限が迫っていたことにより、メンバーに焦りが生じていたことが事故につながる原因となったと考えられます。発進練習をした後の長距離試験ということで、グラウンドクルーの配置などの準備に手間取り、フライト開始時点で7:05と、本来なら撤収すべき時間になってフライトしようとしており、多くのメンバーが冷静さを失っていました。ラダーの接合部のヒンジが固すぎて中立位置に戻らないことがフライト直前の操舵試験時に判明していましたが、工具がその場に無く、取りに戻る時間がないため、そのままフライトを続行しようともしていました。

その場で損傷箇所の軽い点検を行い、解体に移りました。解体時も時間がないことで焦りがみられ、また翼解体時にリアスパ接合部の金具が取れていることが判明し対応に手こずりましたが、なんとか8:00に滑空場を撤収できました。


今回はいろいろな箇所で不具合が出て、大会に向けて課題を残す試験飛行となりました。これに関しては大会まであと3週間あるため、今回破損した箇所を確実に補修し、本郷において各種の試験を行うことで不安要素をなくして大会に臨めるよう準備します。

その一方で、今回を含め、今年度の試験飛行では舵の効きを確かめ、パイロットの習熟を図るという点で大きな成果を残しました。特に去年から導入したエルロンの効き・応答を確かめることができたのはとても大きな収穫となったと考えています。パイロットも2年目で、去年と合わせると試験飛行で100本以上のフライトを経験しており大会では大きなアドバンテージとなるはずです。

今年の試験飛行の目標(エルロンの効きを確認し、S字飛び切りを行う)はほぼ達成しました。また、今回の試験飛行で破損した各部位の点検・補修は1週間では万全には終わらないと判断したため、今回の試験飛行をもって12年度の試験飛行を終了します。

動画

全フライトの動画は、http://www.youtube.com/playlist?list=PL586F32F590793925より御覧ください。

12年度第7回,第8回試験飛行報告(6/30)

6/30(土)-7/1(日)にかけて、試験飛行を2日連続で行いました。30日早朝を第7回、1日早朝を第8回とし、2日分の結果の報告をいたします。

6/30(土) 第7回試験飛行

1日目はWASAとT-MITと合同で富士川を使わせていただきました。組み立て時から撤収まで雨もなく、非常に良いコンディションの中行うことができました。

前回のフライトの再現性をとるため、この日は先週の第6回試験飛行の最後のフライトと同じセッティングから行いました。

フライトを行った時間帯は、ほぼ無風か、0.5m/s以下の微風が吹いていました。時間により風向きが変わったため、フライトごとにおおよその方向をメモしてあります。


  • 1本目:中距離試験(北東微風)


7-1
長めの滑走をした後、エレベータで上げて100mほど飛行をしました。離陸後大きく右に流されましたが、ラダーを使って滑走路の中央に戻しました。浮かせるときにエレベータを切り過ぎ、急に持ち上げてしまったためピッチが安定しないフライトでした。同条件でもう一度飛ばしてみることにしました。

  • 2本目:中距離(無風)


7-2
このフライトより、ログビューワの色の対応が一部変わっております。緑の機速、青の回転数、赤の高度はそのままですが、エレベータは桃色、ラダーは水色、エルロンは茶色となっています。ご了承下さい。

8.0m/sまで加速するのを待ちエレベータで浮上させました。今回も浮上時にエレベータを切り過ぎ、急激な上下を繰り返しました。ピッチングは徐々に収束していきましたが、機速が足りておらず、エレベータで持ち上げる状態となって滑空しました。浮上直後から左に流され、ラダーとエルロンを使って滑走路中央に戻しました。もう少し機速が足りていれば、姿勢を立て直してから着地させることができたかもしれません。

  • 3本目:中距離(南南西微風)


7-3
きれいな滑走の後、エレベータにより浮上させました。これまでのフライトより若干エレベータの引く量を小さくできたため、これまでより安定した離陸をしました。滑空中はほとんどエレベータを入れず、8.0m/s強で安定していました。途中何度かラダーで方向を修正した後下ろしました。途中から若干ピッチングが見られますが、これは操縦桿の構造上、ラダーを操作した際にエレベータも入ってしまうことによるものと思われます。

ストップをかけた直後にチェーンが外れ、プロペラが自由回転を続けたため高度が落ちるのが遅れました。

ここまでのフライトを通して、エレベータを入れない状態で少し頭上げだったため、エレベータトリムを0.5deg戻し、4.0degとしました。

  • 4本目:中距離(南0.5m/s)


7-4
滑走中に左にそれていったため、浮かせてから姿勢を立て直そうと早めにエレベータを切りました。エレベータで無理矢理浮かせた状態だったため機速は7.0~8.0m/sの間で、途中までエレベータを入れ続けて頭上げのまま滑空しました。浮上直後に機体は右に流されましたが、ラダーとエルロンを使って上手く滑走路の中央に戻し、きれいな着地を決めました。

  • 5本目:中距離(北微風)


7-5
スタート直前に風が南から北よりに変わりましたが、計測できないほどの微風であったため続行しました。滑走中若干左にそれていきましたが、そのまま浮上させました。ラダーとエルロンを使って進路を滑走路中央に戻し、そのまま下ろすフライトとなりました。

前方で試験飛行を行っていたWASAの機体と衝突を避けるため、早めにストップをかけましたが、少し早すぎたためほとんど挙動を見るには至りませんでした。

  • 6本目:中距離


7-6
滑走中大きく左にそれていったため、浮上させて姿勢を戻そうとしましたが、機速が足りていない中エレベータで無理矢理浮かせてしまったこと、浮上時のロールが大きすぎ、操縦で立て直そうと試みたことから右に大きく流されていき、草地の上に着地しました。そのまま駐車してあったF-tecのトラックの方向へ向かっていき、右翼端板をトラック側面に接触させて停止しました。
人的被害は無く、機体へのダメージも翼端板がわずかに変形した程度で済みましたが、一歩間違うと大クラッシュとなる非常に危険なフライトとなってしまいました。滑走時に左に大きくそれた時点で、無理に浮かそうとせずにストップをかけるべきだと再認識しました。

  • 7本目:中距離(南)


7-7
加速中姿勢が崩れたものの、先ほどのフライトに比べて危険な範囲ではないというパイロットの判断でそのまま浮上しました。しかしエレベータで無理矢理上げていたため、そのまま機速が上がらず、終始エレベータで持ち上げながら滑空しました。判断は若干微妙でしたが、少し頭上げの傾向だと考えてエレベータトリムを0.5deg戻して3.5degとしました。

  • 8本目:中距離(南)


7-8
きれいに滑走し、8.5m/sを超えるのを待って軽くエレベータを入れたところ、簡単に浮上しました。浮上直後は機速が落ちましたが、エレベータを戻してそのまま滑空すると機速は回復し、姿勢も安定しました。ストップ後は回転数を落としてエレベータを入れつつ、まっすぐ下ろしました。

  • 9本目:中距離(南)


7-9
滑走時に若干機体がロールしたため、少し早めに浮上させました。最初はエレベータを入れて姿勢を安定させましたが機速が回復するとともに徐々に戻していき、姿勢を水平に戻しました。浮上後に右に流されましたが、ラダーとエルロンで進路を修正し、その後は滑走路右寄りを偏流飛行しました。着地直前にラダーで機首をまっすぐに向け、非常にきれいな着地となりました。

ここまでのフライトで、水平に安定した飛行ができていること、残り時間が少なくなってきたことから、可能な限り長く飛ばすことを目指しました。今回は合同TFのため、600mを使用した長距離試験となりました。

  • 10本目:長距離(南)




7-10
まっすぐ滑走し、8.5m/sに達するのを待ってエレベータにより浮上させました。途中まではエレベータを軽く入れ続けながら、ラダーとエルロンで機体を滑走路中央に戻すようにしました。400mのラインを超えたところでストップをかけ、その後はエレベータをほとんど入れずに回転数を落としつつ、ゆっくり高度を下げていきました。着地前に横風の影響を相殺しきれず、ややヨーイングした状態で着地しました。


この日はほとんどのフライトで離陸直後に西に流されました。手元の風見棒で高度2mほどの風を見ると全フライトを通して気になるような風はありませんでしたが、それより上で東からの風がある程度あったものと思われます。
姿勢に関しては、今回の設定で問題ない範囲と考えられるため、次回以降は基本的に設定を変えず、パイロットの訓練に重点をおくことにしました。

7/1(日) 第8回試験飛行

続いて2日目です。この日はWASAとドボン会(名古屋大学)との合同の試験飛行となりました。土曜日の夜から弱い雨が断続的に降っており、試験飛行が行えるか心配でしたが、富士川の橋の下で2:00過ぎまで待機したところ雨は上がり、その後は通常通り組み立てを行いました。

明け方一時的に雨に見舞われたため、その間はフライトを中止し待機しましたが、風は穏やかで、足下が少々悪かった以外は悪くないコンディションでした。


  • 1本目:中距離

    8-1
    3回ほど発進を試みましたが、どの回も機体が左にそれていく傾向がありました。前日の反省から早めにストップをかけました。機体が傾いていく途中で車輪から異臭がしたため、点検を行ったところ、車輪の側面がホルダーにこすれて熱を持ったと思われました。

1本目の発進を3度ほど試みたところで、雨が降り出したため主翼および尾翼を保護し、滑走路上で待機しました。6:00頃に雨が弱まったため、カバーを外して待機し、6:05から再開しました。

  • 2本目:中距離

    8-2
    今回も滑走中に左にそれていったため、すぐにストップをかけました。今回も車輪から異臭がしましたが、この日に関してはまっすぐ滑走できれば車輪のこすれは軽減できると判断し、続行することにしました。機体が左にそれる傾向があるのは、スターティングメンバーの披露から起こっている可能性もあると考えました。

  • 3本目:中距離

    8-3
    多少それる傾向はありましたが、2本目までより大きく改善しました。エレベータで持ち上げ、その後も最後までエレベータを入れ続けたフライトでした。やはり離陸後右に流されましたが、エルロンとラダーを使って上手く滑走路中央に戻しました。

  • 4本目:中距離

    8-4
    3本目とほとんど同じ挙動をしたフライトでした。エレベータで持ち上げましたが、機速が足りておらず一度地面に降りてしまい、そのご再浮上させラダーとエルロンで戻しました。機体がそれていく前に早めに浮かせてしまおうと考えたためこのような挙動になったのだと思われます。

  • 5本目:長距離

    8-5
    この回も最後まである程度エレベータを入れ続けたフライトとなりました。最初の滑走はかなりきれいになり、エレベータを入れ続けていたところ8.0m/sあたりに達したところで浮上しました。エレベータで持ち上げていたため、ピッチがあまり安定していませんが、これは前日の最後のフライトのようにもう少し機速が上がるのを待ってゆっくり持ち上げれば改善するものと思われます。

上空は東からの風がある程度あったため離陸直後から右に流されましたが、途中何度かラダーとエルロンで滑走路の中央に戻そうとしました。ラダーとエルロンを何度も切り、応答を確認して良い練習になりました。


今回の2日間で安定を取り、操舵の応答も確認することができ、パイロットにとっても非常に良い練習となりました。

来週にもう一度試験飛行を行い、2~3本の飛び切り(エルロン試験含む)と発進練習等を行い、大会本番前最後の試験飛行としたいと思います。

動画

全フライトの動画は以下の再生リストより御覧ください。

[F-tec 2012/06/30 第7回試験飛行](http://www.youtube.com/playlist?list=PLE2EF7FB617959E21)
[F-tec 2012/07/01 第8回試験飛行](http://www.youtube.com/playlist?list=PLD324E833C9C2D423)

12年度第6回試験飛行報告(6/24)

6/24(日)早朝に第6回試験飛行を行いましたので報告いたします。先週まで雨続きでしたが、今週やっと晴れの予報となり、実に3週間ぶりに試験飛行を行うことができました。今回はWASAとT-MITと3チームで富士川を使用し、F-tecは北側400mを使用させていただきました。

滑空場は日中雨が降ったため濡れていましたが、到着後雨にふられることはありませんでした。風も非常によく、到着時は南からの微風で、組み立てを開始したころに北からの微風に変わっていました。今回は2:07に組立を開始し、3:20に完了した後、操舵試験、駆動試験、重心測定を終え、4:00を少し過ぎた頃に機体をスタンバイ状態にしました。

調整ですが、前回のTFでエレベータのトリムが大きめの値となっていたため、前回より翼位置を10mm前へ出し、トリムを2.5deg戻して2degにした状態で開始しました。

今回はすべて滑走路400mを使用した中距離試験です。


  • 1本目(風:北0.5m/s)
    機速8.0m/s強まで加速し、エレベータにより浮上。滑走中右にそれて行き草地に突っ込みそうになったため早めにストップをかけました。

    6-1
    やはり頭下げの傾向が残っているため、トリムを0.5deg(本当は+1degにしたつもりだったのですが、後からチェックしたところ半分しか動いていませんでした。反省点です)アップして2.5degにしました。

  • 2本目(北0.5m/s)
    機速9.0m/s近くまで加速し、エレベータを使いながら8.0m/sで飛行。途中頭下げ状態で着地しました。その後、再び9.0m/s近くの機速を維持し、瞬間的にエレベータを入れましたが再浮上はしませんでした。

    6-2
    まだトリムを下げる余地があると判断し、1degアップにし3.5degに。

  • 3本目(北北東1.0m/s)
    設計機速の8.5m/sに達してからエレベータで浮上しましたが、戻すと依然として頭下げ姿勢になり高度を落としました。

    6-3
    トリムをさらに1degアップにし4.5degに。

  • 4本目(北0.5~1.0m/s)
    設計機速に達してから、わずかなエレベータ操作により浮上。若干頭上げ状態で安定な飛行をしました。

    6-4
    姿勢は安定しているものの機体をわずかに頭上げにしつつフライトしている様子から、迎角を0.2deg上げて様子を見ることにしました。

  • 5本目(北0.5m/s)
    エレベータにより浮上。上昇後10秒近くエレベータを入れなかったものの、姿勢(若干頭上げ)と高度を安定させた定常飛行をしましたが、機速が7.5m/s程度と異様に低いフライトでした。

    6-5
    加速開始直後チェーン付近から異音がしたとのことだったので、駆動系を外から見れる範囲でチェックしましたが、プロペラを回した時にごくわずか引っかかる感じがある以外は問題なく、続行することにしました。違和感は、チェーンを交換すれば解消されるだろうと判断しました。また、パイロットの証言で、操縦桿での操作に対するエレベータの応答が強すぎるように感じられたということなので、エレベータのゲイン20%減らしました。

  • 6本目(北1.0m/s)
    加速開始直後、パイロットがチェーンの異音と激しい違和感(ペダリングの負荷に著しいムラがある)を感じたため、ストップしました。
    https://www.youtube.com/watch?v=AgJWyxN8cPQ

その場での駆動系の点検の結果、ペラシャフトのパーツ間の接着が剥離していました。その場での補修は不可能だったので、撤収を決定しました。


今回の試験飛行は、重要な部分で様々な問題点が浮上したものでした。

全フライトを通じて、エレベータの切れ幅が大きすぎて縦にふらつく傾向がありました。切れ方が前回に比べて急激なことや、パイロットが微調整をしているにもかかわらずログが振り切れていることから、操舵系統のハードウェア・ソフトウェアを見直し、思い通りの操縦ができるよう次回までに改善します。

また駆動系のトラブルですが、こちらも各部の損傷が明らかになりました。5本目、6本目で機速が遅かったのは、迎角を上げた影響だけでなく、シャフトの問題で駆動効率が大幅に落ちた影響も考えられます。これまでの59本のフライトを通じて、ペラシャフトに限らず各部のパーツがダメージを受けていると考えられるので、パーツの交換や予備の製作を行なっていきます。

5本目のフライトで機速が低下した原因ははっきりしませんが、姿勢は安定していたように思われたことから、再現性をとるため次回はこれと同一の設定から行います。
今回は3週間ぶりの試験飛行だったことと、大会が迫り焦りがあったためか全体的に細かいミスやもたつきが目立ったことが反省です。今回のような飛行の安全性に直結することが大会本番や残りの試験飛行で起こらないよう、再度事故につながる可能性がないかを徹底的に調べ、次回以降に向けて万全の態勢で試験飛行が行えるようにします。

動画

全フライトの動画は以下の再生リストより御覧ください。

http://www.youtube.com/playlist?list=PLE584E78F6148BB4C