第6,7回試験飛行

6/14(土)と15(日)の早朝行いました第6・7回試験飛行についてご報告いたします。

第6回試験飛行

前回とはセッティングを変えずにフライトを行いました。 (迎え角:3.6度、重心位置:初期位置より60mm前、エレベータートリム:UP2度、ペラピッチ:-1.0度)

1時に組み立てを開始しました。組み立て時に北からの風が強く、機体を北向きにしてラダーを組み立てました。右内翼端の接合のためのボックスが破損しましたが、その場で修理しました。

駆動試験では、90回転を15秒行ったところ、カチャカチャという周期的な音が鳴り出しました。この異音は以前からあり、毎回改良しては再び鳴りだすということを繰り返してきたもので、桁内部のドライブシャフト側のギアの軸が傾きベアリングが動くことによると考えており、ベアリング止めのフランジをステンレスで作り、ドライブシャフトに用いている2つのユニバーサルジョイントのうち上側のものを曲がらないように固定する(つまりユニバーサルジョイントの機能を奪う)ことでギアの軸をできる限りまっすぐにしてベアリングのガタつきを防ぐという対処をしていました(設計ミスですが、軸にそもそもガタができてしまっていることが分かったので、上側のユニバーサルジョイントを固定してもよほどのことがない限り問題はないと考えています)。
今回の駆動試験ではユニバーサルジョイントを固定しているパーツがだんだん壊れてきて再び異音がするようになったと思われます。修理はこの場ではできませんでしたが結局のところ前回のTFとほぼ同じ状態となったので、フライトを中止にするほどのことではないと判断しました。

今回は首都大学T-MIT、横浜国立AEROSPACEとの合同TFで、F-tecはT-MITと滑走路北側500mを相互利用することとしました。6本目で横浜国立さんが撤収したため、その後は北側400mを単独で使用しました。

常に北からの風であったため、フライトはすべて北向きに行いました。今回は機体の高度を保って滑空させることを目的とした短距離試験を行いました。


1本 短距離試験
滑走中にフェアリングのドアが落下し、破損しました。たびたび起こったドアとドア周りの骨の破損により、ドアがフェアリングの形状に合わなくなっため、固定が甘くなったのが原因と考えております。この場での修理は断念し、フィルムで閉じることで対応しました。

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2本目 短距離試験
機体の速度が上がりきったところでエレベーターを入れて浮上しました。エレベーターから手を離すとすぐに頭下げになったので、まだ機首下げ方向のモーメントが強いと判断し、トリムを機首上げ方向に0.5度増やしました。(UP2.5度)
機速:10.5 回転数:110 でした。


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3本目 短距離試験
機体が大きくそれていったため、回転数を上げることなくストップさせました。 また、滑走路中央の白線が加速を妨げていることが考えられるため、このフライト後はスタート位置を白線の前からにしました。
機速:9.8 回転数:100でした。

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4本目 短距離試験
右に多少それながらも滑走し、機速10を越えたあたりから後輪が浮き始め、頭下げの状態で滑空しました。その後着地し、左にそれて停止しました。この時エレベーターは入れていませんでした。
機速:11.5 回転数:118でした。

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5本目 短距離試験
発進時に右にそれてしまい、修正しながら滑走、エレベーターによる浮上をしましたが機速が足りず、滑空には至りませんでした。
機速:10.0 回転数:115でした。
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このフライトの後T-MITと交代しました。この時間を使ってエレベーターの舵角を2/3に下げました。(±12度→±8度)
6本目 短距離試験
左にそれながら滑走し、エレベーターを入れることで浮上しました。機速が十分ではなく。すぐに着地しました。 機速:9.5 回転数:105でした。

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7本目 短距離試験
スタメンが離れた後浮上、左にそれたのでストップをかけました。浮上後も機速が上がらず、そのまま着陸しました。 機速:11.0 回転数:110でした。

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8本目 短距離試験
右にそれていったため左にラダーを入れましたが、入れすぎたため左に大きくそれました。エレベーターを入れず、浮上もしませんでした。
機速:10.5 回転数:110でした。
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9本目 短距離試験
前回のフライト後、ペラピッチを0.5度上げました。(絶対値:-0.5度) また、同時にエレベーターの舵角を初期値の1/3(±6度)に下げました。 わずかに浮いた後回転数を落としてしまったため、滑空には至りませんでした。
機速:10.3 回転数:108でした。

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10本目 短距離試験
滑走後すぐに正対の強い風が吹き、浮上、急激な着陸という危険なフライトになってしましました。幸いにも機体の損傷、けが人はありませんでした。今後、強風でのフライト中断の判断基準を明確化するなどの対応をいたします。
機速:10.5 回転数:112でした。

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撤収時にパイロットの漕ぎ易さを考慮し、ペラピッチを0.5度下げました。(絶対値:-1.0度)

第7回試験飛行

組み立て時に1日目と同様に北から強い風(2~3m/s程度)が吹いていたため、ラダー以外を組み立てた後、機体を北向きにし、ラダーを取り付けました。また、この風のため重心測定は困難であると判断し、中止といたしました。
組み立て後は操舵試験を行い、エレベーターが一瞬だけ僅かに振動したように見えました。操舵試験バグは判明していませんが、フライトには支障ないと判断し続行しました。
駆動部についてですが、機体の組み立ての前に前述のユニバーサルジョイント固定パーツを作り直し、さらに固定を強化したので駆動試験では異音は特にありませんでした。

T-MITとの共同使用で、我々は北側400mを使用しました。 また、部員の疲労を考慮し、3本目終了時点に小休憩を挟みました。


1本目 短距離試験
エレベーターを入れて浮上しましたが、機速が十分でなく、すぐに着陸しました。なお、この時のフライトログは機器の動作不良により取れていませんでした。

2本目 短距離試験
エレベーターを入れて浮上しました。しかし、設計機速に達しておらず、すぐに着地しました。パイロットに回転数の保持を指示し、同じ条件でフライトを行いました。
機速:10.5 回転数:108でした。

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3本目 短距離試験
浮上後すぐに落ちてしまったため、まだ安定側に強いと判断しました。このフライト後、テール部分に重り50gを追加しました。
機速:10.5 回転数:115でした。

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4本目 短距離試験
設計機速まで達しておらず、推力が不足していると判断しました。 ペラピッチを0.5度上げました。(絶対値:-0.5度)
機速:10 回転数:110でした。
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5本目 短距離試験
まだ安定側の傾向が見られました。重心測定の結果と主翼風圧中心の解析値から翼位置を動かすと不安定側に陥る可能性が高かったため、製作担当者やOBさんを交えて議論をいたしました。その結果、機体の実際の挙動を重視し、翼位置を20mm前に動かすこととしました。ただし、保険として、トリムをニュートラルからDOWN側に1度切りました。また、重りはすべて取り外しました。念のため、エレベーターは切らず、地上滑走で浮くかどうかを見ることとしました。
機速:10 回転数:105でした。

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6本目 短距離試験
北端の横風が強いため、T-MITとの交渉の結果、スタート位置を100m南にずらしました。 後輪が浮き、一瞬だけ前輪も浮上しました。この時エレベーターは入れておりません。 なお、フライトログを取るためのSDカードを入れ忘れたため、ログはありません。

7本目 短距離試験
トリムを1度UPにし、0度としました。設計機速に達したあたりで後輪が一瞬だけ浮きました。この時点で機体を浮かせても発散することはないと判断し、次回以降エレベーターを入れることとしました。
機速:10.5 回転数:109でした。

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8本目 短距離試験
エレベーターを入れて浮上しましたが、すぐに機首下げとなり、着陸いたしました。このため、まだ安定側にあると判断しました。
機速:11.2 回転数:110でした。

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今後は8本目のセッティングに加えアップトリムを取り、機体の安定的な滑空を目指します。