第4,5回試験飛行

5/30(金)から6/1(日)にかけて第4回、第5回試験飛行を行いましたので、報告いたします。 今回よりフライトの動画は機体が浮いたものに限って貼付けします。
それ以外の動画に関してはページ下部にある動画リストへのリンクを辿っていけば見られます。

5/31(土) 1日目(第4回)

前回のフライト前にギアボックス固定用の板が割れてしまいましたが、今回はギアボックスのアルミ板自体を桁に固定することで対応しました。 出発前日の駆動試験において異音はなく、正常動作を確認しました。 なお、破断したギアボックス固定用の板は再作成が時間的に困難と判断し、行いませんでした。次週までにサンド材にて作り直す予定です。
出発直前、表示系(ネクサス7を使用。以下ネクサスと略記)とセンサー類とのコネクトができない状態となり、予備のものに取り替えました。

前回のフライト結果を考慮し、 ・翼位置を20mm前に出す

・ペラピッチを1度下げて目標回転数を100に上げる

・車輪を抵抗の少ないものに変える

上記3点の変更を加えました。 また、車輪の軸受けが長くなるように作り直し、車輪の変更と合わせて1.4度の迎角上げとしました。

組み立て時に北向きの強い風(約4m/s)が吹いており、ラダーの組み立てを行いませんでした。 ラダー以外の組み立て終了後に操舵試験を行い、問題ないことを確認しました。

操舵試験後に駆動試験を行いました。 回転数を70前後に上げたときに、ネクサスマウントのスタイロとドライブシャフトが干渉しました。このためマウントを一旦取り外し、干渉しないように削り再接着しました。 これは前述のネクサスを取り替えた際にマウントが動いてしまったためと考えています。

駆動試験後に重心測定をしました。 この時点でも北向きに強い風が吹いていたので機体を南向きにし、風に対して正対させて行いました。風などの影響を考慮した結果、エレベータートリムをダウンに1度取った安全側からスタートさせることとしました。

今回も機体の重心位置調整のため、浮いたときの挙動を見る目的で試験飛行を行い、計11本のフライトを行いました。 天候は曇りでやや湿度が高く、風は明け方には北向きに微風であったため、フライトはすべて南向きに行いました。

 


 

以下詳細な説明です。

1本目 走行試験
変更した車輪の確認のために行いました。
特に異常はなくこのままジャンプ試験を行えると判断しました。

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2本目 ジャンプ試験
回転数100rpm、機速10m/s程度に達した段階でエレベーターをインパルス的に入力してもらい、浮上しました。浮上後すぐに回転数が落ちてしまったため機体の挙動を見ることはできませんでした。
浮上時の機速は10.5m/s、回転数は110rpmでした。

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3本目 ジャンプ試験
スタメンの手を離れた後左へロール、ヨーしていき、戻すことができずに草地に入りました。このときに左翼端を強くこすり、翼端フェアリング、フィルムと前縁プランク1000mm分が損傷しました。幸いにもけが人はいませんでした。
この原因として、前回ラダーの入力を操縦桿で再現不能なまで急に行った場合、操舵に反応しないようにしたことが考えられます。
回転数105rpm、機速10.5m/sでした。

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4本目 ジャンプ試験
予備のネクサスを使用した関係上、操舵のログが取れていないことが判明しその場でプログラムを書き換えました。
インパルスを入れると回転数に意識がいかないと、パイロットからの要望があったのでインパルスを入れずに回転数を上げることでの浮上を試みました。
回転数115rpm、機速10.3m/sまであげましたが、浮上には至りませんでした。

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5本目 ジャンプ試験
エレベータートリムを0度としました。(前回比UP1度)
エレベーターを入れて浮上しました。すぐに落ちてしまうため、頭下げのモーメントが強いと判断しました。 また、エレベーターとエルロンが同時に切れてしまうため、エレベーターのマージンを増やすようプログラムを書き換えました。
回転数は105rpm、機速は10.3m/sでした。

 http://www.youtube.com/watch?v=En8FwCNlEXw

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6本目 ジャンプ試験
エレベータートリムを2度UPとしました。(前回比UP2度)
加速したところでインパルスにより浮上しました。浮き上がった瞬間に回転数、機速共に落ちており、機体が落ちた原因を断定できなかったため、同じ条件で滞空時間を長くしたフライトをさらに1本行うこととしました。
回転数102rpm、機速10.0m/sでした。

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7本目 ジャンプ試験
前回より長めにエレベーターを入れるようにしました。エレベーターを離すとすぐに落ちてしまうため、まだ頭下げのモーメントが大きいと判断しました。
なお、このフライトではログが正常に取れておりませんでした。次のフライト前に操舵試験をし、ログを確認したところ正常に取れていたのでフライトを続行しました。取れなかった原因としては昨年度同様にメモリーカードに書き込むだけの時間が確保できなかったためと考えております。

8本目 ジャンプ試験
トリムを2.5度UPにしました。(前回比UP0.5度)
幾度かインパルスを入れ、3回目で浮上しました。6本目と同様に浮上後すぐに回転数、機速共に落ちていたため、同条件のフライトを更に1本行うこととしました。
回転数105、機速10.0m/sでした。

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9本目 ジャンプ試験
浮上の様子からかなり定常に近い挙動を示していますが、直後にすぐ沈んでいるためまだ若干の調整が必要と判断しました。 また、このときもフライトログが取れていませんでした。

 http://www.youtube.com/watch?v=pu_6wMjT9vc

10本目 ジャンプ試験
残り時間等を考え、テール部分に重りを150g追加しました。これにより重心位置が6mm後退する計算です。
スタメンから離れた後左にそれていき、操舵に意識が行ってしまったため回転数が上がりきらず挙動を見ることはできませんでした。
回転数110rpm、機速10.2m/sでした。

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11本目 ジャンプ試験
回転数が上がりきったところでインパルスによる浮上をしました。まだ若干の頭下げと見受けられました。
このフライトが終了した時点でパイロットの疲労、時間共に限界と判断し撤収としました。
回転数113rpm、機速10.6m/sでした。

 http://www.youtube.com/watch?v=D5CFyAi5U2c

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このフライト結果を踏まえ、第5回は重心位置をさらに20mm前にし、エレベータートリム0度(前回比2度DOWN)、重り0g(前回比-150g)からスタートすることにしました。
また、前回のTFにおいてラダーを左にとっていたため、左に機体が行きやすかったと判明しました。第5回にはニュートラル位置に戻しました。

6/1(日) 2日目(第5回)

現役の人数が少なかったのですが、スタメン、パイロットと設計以外全員がグランドクルーに入ることでその人数でも可能だと判断したため決行しました。そしてさらなる安全のためOBさんにグランドクルーに入っていただきました。ご協力いただいたOBさんにこの場を借りて改めて御礼申し上げます。
欠席が多かったことを反省し、部内で話し合いを行うとともに、今後欠席に対して厳しくするようにしました。

組み立て時にマウントの穴位置を変えるため、接合確認をしました。このため普段より15分ほど遅い組みあがりとなりました。
組み立て後に操舵試験をしました。このとき、トリムをもう少し大きく取れるようにプログラムを変更しました。
駆動試験では、90回転の際カチャカチャという異音が少ししました。この場では対処できないと判断しましたが、前日のフライト中もしていたものなので今回はそのまま行いました。次週までに対処する予定です。
重心測定で予想以上に不安定側に近づいていたため、エレベーターをダウンに1度切った状態でスタートしました。

天候は晴れ、北から微風が吹く絶好の条件でした。


 

以下フライト詳細です。

1本目 ジャンプ試験以下フライト詳細です。
インパルスによる浮上後すぐに着陸しました。
回転数108rpm、機速9.8m/sでした。

 http://www.youtube.com/watch?v=qNiSvrTICE8

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2本目 ジャンプ試験
トリムを0度としました。(前回比UP1度)
機体の着陸がまだ早いので、頭下げと判断しました。
回転数110rpm、機速10.0m/sでした。

 http://www.youtube.com/watch?v=25-GLHfe7TU

5_2

3本目 ジャンプ試験
トリムを2度UPとしました。(前回比UP2度)
浮上の様子から、まだ若干の頭下げと判断しました。
回転数115rpm、機速9.5m/sでした。

 http://www.youtube.com/watch?v=iEw7cTSh1Nc

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4本目 ジャンプ試験
これ以上の調整はエレベータートリムで対処できないと判断し、翼位置を20mm前に動かし、エレベータートリムを0度としました。(翼位置:初期値比較60mm前、トリム:前回比DOWN2度)
フライトでは若干頭下げの挙動を示しました。
回転数106rpm、機速10.0m/sでした。

 http://www.youtube.com/watch?v=IHecvUlxtQ4

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5本目 短距離試験
もう少し滞空時間を増やして細かい調整を加えていくために短距離試験としました。
トリムを2度UPにしました。(前回比UP2度)
回転数106rpm、機速10.0m/sでした。

 http://www.youtube.com/watch?v=HgEsEnqiVxk

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浮いた後、すぐに着陸していますが、これはエレベーターをダウンに切ったためです。
機体の浮上の仕方から判断して適正な調整に近づいており、パイロットも操舵と機体の挙動が一致してきていると感じておりました。
このため今後は短距離試験を中心に細かい調整を加え、距離を延ばしていくこととします。

今回も多大なるご支援、助言ありがとうございました。


今回の試験飛行の動画はこちらにアップロードされています。

第4回試験飛行

第5回試験飛行