第36回鳥人間コンテスト大会報告

7月25日(木)出発!

いよいよ出発です!
バタバタした積み込みでしたが何とか無事に夕方に積み込みを完了し、機体を積んだトラックを見送り、新宿駅で最後の晩餐をとり行った後先発組は夜行バスにて琵琶湖へ向けて出発しました。

7月26日(金)本番前日

琵琶湖到着!後発組も順次合流。
今年は何とタイムトライアル部門、ディフェンディングチャンピオン枠での出場(※去年F-tecは準優勝でしたが去年の優勝チーム不在のため)なので、例年よりもプラットフォームに遥かに近く、スペースにもゆとりのある場所となっておりました!

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↑ネームプレートも例年よりなんか豪華ですww (※ぬいぐるみ(フォックすけ君)は持参したものです)

因みに去年の↓

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到着早々雷雨警報と小雨に見舞われ、一時は大会側による機体審査時間内に組立が間に合わないのではないかとひやひやしましたがその後無事に晴れ審査を終えることができました。

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↓プランク付きで荷重試験をした時の穴が模様の様に残ってますww(安全性は試験飛行と荷重試験で確認済みです)
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同時にパイロット、主要メンバーのインタビューが行われました。今年実装のタブレット型計器ディスプレイの受けが予想以上に好評でしたww

 
プラットホームの視察。(スマホで撮ったら何かやけに青くなってしまいました….)

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因みにお隣さんはあの、でんじろう先生監修の斬新なチームでした。

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7月27日(土)タイムトライアル部門フライト当日

5時過ぎに起床し、薄暗い中の機体組立開始。朝また雨に短期間見舞われましたが、今年はフライト順が最後でプラホが近いこともあり雨をやり過ごした後でも十分時間に余裕をもって組み立て終える事ができました。

組立直後、筆者がうかつにも落としてしまった朝食のおにぎり。。。。(この時、ほんの一瞬胸のざわめきみたいなものを感じなかったと言えば嘘になります。)

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最後の組立を無事に完了したところで記念撮影

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そして、遂にタイムトライアル部門スタート!!
前の7チームの内、今年は4チームが無事旋回をクリアしゴールラインまで帰還し、全てのタイムが去年の優勝タイムである2分8秒を上回る(Team Fが1分43秒という新記録を樹立)という驚愕のレース展開の中自分たちのフライト順が回ってきました…..
フライト直前

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スタート!

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おっと!?

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ふう…..(高速化、重量化のせいか、スタート時のエレベータの入力が例年よりかなり必要だった様です)

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スタート直後何故か大きく左に逸れ、必死にコースに戻すものの高度を維持できず….

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ターンポール直前にて………

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以上、今年は無念の記録無しとなってしまいました……本当に無念です………

以下に参考までにフライトログとGPSデータを添付します。

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テストフライト終盤の大クラッシュにて大幅な修復処置が施され、性能、操縦性とも最初とは全くの別物の機体と化してしまっていた中、大幅な高度低下の伴った負荷の高い発進にも無事耐え、クリアし、ターンポール直前まで無事飛行できただけでも大いに喜ぶべきことだったと考えております。

謝辞

今年は「よりタイムトライアル部門に特化した優勝を狙える機体」を目標に、チーム初の片持ち主翼を採用し、過去の機速を大幅に上回る9.5m/sとチーム史上最速の機体の製作に挑みました。

分からぬ点、至らぬ点も多く、例年以上に先輩方、先生方及び多くの他チームの方々に機体の設計製作、テストフライト、チーム運営などに関する様々な助言と支援を頂きました(特にチーム史上最多となってしまったTFに毎回おいで下さった先輩方達には本当に感謝の言葉もございません)。

この場を借りて、F-tecを応援して下さった全ての方達に深く御礼申し上げます。

今年の大会にて結果を残せなかったことは誠に残念であり、申し訳ない気持ちで一杯です。来年は今年の雪辱を晴らし、今後も、歩みを止めずに工夫を凝らし、着実にノウハウの蓄積と進歩を続けて行ければと思います。

今後ともF-tecをよろしくお願いします。
2013年度設計担当より

 

考察と展望(全体活動報告書、設計パートより抜粋)

【今年は全体の活動報告書の編集、掲載が遅れていることから、大会でのフライトの詳細な考察と今後の展望のみ、抜粋して先に公開させていただきます。】
『Ⅱ 鳥人間コンテストでの飛行

大会ではTT部門の8番機で、昨年優勝したドボン会が今年不在なため、ディフェンディングチャンピオン枠、最終発進機としての出場になった。前の7チームの内、今年は4チームが無事旋回をクリアしゴールラインまで帰還し、全てのタイムが去年の優勝タイムである2分8秒を上回る(Team Fが1分43秒という新記録を樹立)という驚愕のレース展開となり、入賞するには去年の優勝タイムを越えねばならないという試合状況での本番だった。
フライト直前、ターンポール周辺ではほぼ無風で若干左からの微風(ターンポールに設置された吹き流しで確認)、プラットフォーム上もほぼ無風でのスタートになった。そのため飛行経路は旋回時風に正対することと、右側の沿岸から離れる方向に旋回するため、去年同様左回りにポールを回ることとした。
スタート直後、機体は大きく急降下し、高度を約1m強まで落としたものの何とか態勢を立て直し、直後に高度を10m程へと復帰させてた。その後200m程安定に飛んだものの、機体が左に大きく流され始め、立て直そうとする内に機体が徐々にピッチングを始め、高度を失い出し、制御しきれずにポール手前で着水した。
以下に大会フライトのlogと飛行経路図を掲載する。』
log,飛行経路図はページ上部参照
『プラットフォームからの発進後ここまで高度を失った原因として、発進後のエレベーターの操舵量が足りなかったことが原因と思われる。去年は軽くエレベーターに触れる程度でほとんど高度損失がなかったことから、今年は発進直後、トリムスイッチで2度エレベーターを入れるのみだったものの、降下中にパイロットの判断で操縦桿を引きフルにエレベーターを入れ直している。もしスイッチのみであれば、そのまま水面に墜落していたと思われる。機体の重量化、高速化、及び飛び出し時の風が去年との差を生じさせたと思われる。
機体が序盤で左に流され始めた原因として、後半でエレベーターを入れる際誤ってラダーも左に一度切っていることが伺える他、風がその区間に置いて右からふいていた、局所的なダウンバーストが存在したなどが考えられるが、はっきりとした原因は不明である。
尚、高度を立て直す直前まで、設計担当の自分が「漕いで漕いで!」と指示を連続でしていたのを、十分立て直したと判定した直後に止め「左に流されている」と指示したため右にラダーを切りパイロットの意識が操舵に行ったせいか、95で保たれていた回転数が一瞬80前後に落ち込んでいる。尾翼の操舵による抵抗増大と回転数低下が重なったことが、その後の高度の損失の引き金になったと思われる。高度を失い始め自分の「上げろ!上げろ!」との指示に操舵でパイロットが答えているのが伺えるが回転数の平均は90程である。ifは禁句ではあるが、ここで、回転数を大幅に、100以上まであげるように具体的に指示し、実行されていた場合、機体が高度と姿勢を立て直した可能性は否定できない。着水後のパイロットに怪我は無かったものの、引き上げられた直後も本人によるとかなり体力が残っていたらしく残念ではある。

大会本番のかなり、負荷の大きかったと思われるプラットフォーム発進にも無事耐えたことから、第14回試験飛行でのクラッシュ後の機体への各種補強、補修は成功したと言える。また、回転数が95を保っている間は安定して飛んでいたように伺えたことから、機体のセッティングもほとんど問題なかったように見える。しかし、本番の機体は、半年間の数多い試験飛行で訓練し、慣れ親しんだ機体とはかなり操縦性が違っていたはずであり、特に回転数の調整によるピッチング操作はパイロットに要求できる状況ではとても無かったと言える。また、そもそもラダーの効きが弱かったため、左右の操縦がエルロンに頼らざるを得なくなり難しかったと思われる上、今年は縦安定の調整にとまどり、意識的な操舵の訓練が不足していたこともこの様な結果に終わった原因と思われる。

Ⅲ たんせい弐拾號の評価と今後の展望

今年のたんせい弐拾號では、設計目標であった9.5m/s以上の速度の達成、人の平均的な走行速度を大幅に超え出す速度でのTF運用法の確立(車輪など)、張線構造を廃止した片持ち翼化、エルロンの効果的な運用、重心位置の設定法の更新、尾翼トリムスイッチの導入など多くを達成したと言える。しかしその一方で2度のクラッシュ、及び縦安定がとれるまでの試験飛行回数の増加、など運用面での多くの失敗をし、大会での成績不振を招いてしまった。これらの原因はこの報告書で先述した通りである。
余談ではあるが、大会3週間前の第14回TFでのクラッシュの後、奇跡的にパイロットは無傷だったものの機体の損害は激しく、真剣に大会出場辞退もチームで検討された。その後の荷重試験で主桁に破損が発見された後もあきらめずに対策を考え実行し、荷重試験、追加試験飛行をクリアし、大会出場にこぎつけたこと自体も大きな一つの達成であり、失ったものと同時に今後に向けて得られたことも大きかったと思われる。

今後の方針としては、今年度の反省すべき数多くの点を見直しつつも、今年度達成したことを確実に引き継いで行くべきである。今後強化するべき事項として、他チームに対抗しうる機体速度の達成、及び各種軽量化、効率化などのハード面の強化は勿論、パイロットの習熟をより意識した試験飛行の効率的な運用法、重心の調整法、設定法、及び事故時の対応法のなどソフト面での強化もより意識する必要がある。
今回の大会で他強豪チームのフライトを見る限り、F-tecと若干水をあけられてしまった感は否めない。しかしその分を取り返し、追い抜ける様に、工夫を凝らし、歩みを止めず着実にノウハウの蓄積と進歩を続けて行きたい。』