2011年度第2回試験飛行報告(05.22)

第2回TFは、5/21~22の日程で行いました。

予報が芳しくなかったため、心配していましたが、雨は結局降らず、積み下ろしまでこなすことができました。

操舵試験で、左エルロンの光ファイバーに不具合(左外翼中での断線)があることが発覚。そのため、今回もエルロンサーボの電源は入れず、添え木で固定。

グランドクルーのアップなどに若干手間取りましたが、日の出直後の4時40分ごろにフライトを開始しました。

前回が頭下げ状態での飛行だったということで、エレベータトリムを1degアップ(以降、アップ・ダウンは機体全体のピッチ角の増減に対応させます)に設定してスタート。

今回はすべて中距離飛行です。

フライトの記録
  • 1本目 (ほぼ無風・南向きに発進) 浮上せず、左にそれて滑走路わきの草地に突っ込み、停止。機速は7.3m/sほど。
  • 2本目 (ほぼ無風・北向きに発進) 発進後、ロール方向左に傾いていったためストップ。ほとんど浮上せず。
  • 3本目 (南風1m/s・南向きに発進) 頭下げで50mほど滑空し、着地。

縦トリムの調整のため、さらにエレベータトリムを1degアップに切る。

  • 4本目 (南風1.5m/s・南向きに発進(以降すべて南向きに発進なので省略します)) 後輪から浮上し、わずかに滑空。

さらにエレベータトリムを3degアップ側へ。

  • 5本目 (南風1.0~1.5m/s) ほぼ水平か、若干頭上げ気味で50m弱飛行。

水平はとれてきたように思えるが、このままではエレベータの抵抗が大きくなること、操縦性の 低下などを考慮し、翼位置を8mm前にシフト。それに伴い、エレベータトリムも3degダウンに戻 す(初期設定値に戻さなかったのは、目視で後部胴体と平行であるように見えたことによります)。

  • 6本目 (南1.5m/s) 一気に1.5mほど浮上し、パイロットが回転数を落としたため降下、回転数を再び上げたことにより再浮上し、30mほど飛行して着地。定常飛行時はほぼ水平を維持。

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高度変化はノイズで分かりにくいですが、再浮上の様子が見えます。(なお、凡例が見づらいですが、青:回転数計、緑:機速計、赤:高度計、水色:エレベータ、黄:ラダ―です)

  • 7本目 (南から南西の風2~3m/s) 100m弱飛行し、ストップ。

この時点で、縦安定および滑空姿勢にはほぼ問題なしと判断。

パイロットに、機体を滑走路内でまっすぐ水平にコントロールする操縦および出力の感覚を身につけ させることを目的に、パイロットと設計でログや動画を見て分析をしつつ、本数をこなすことにしま した。

  • 8本目 (南2m/s) 200m弱飛行。高度1.5~2.0m、機速8.5m/s、回転数95~100。

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ログによれば、回転数の変化に応じて敏感に高度が変化していることが分かります。

ストップの際、かなり急降下でハードランディングになってしまい、着地の衝撃でペラのチップが破損。他の部分には異常が見られないため、瞬間接着剤で応急処置し、フライトを続けることに。

  • 9本目 (南0~0.5m/s) ロール方向左に傾き、浮上しないままストップ。これはスターティング時から傾いていたので、もっと早めにストップをかけるべきだったように思います。反省点です。
  • 10本目 (南から南西の風1m/s) 150m弱飛行。左に流されたためストップがかかるも、高度が下がらず、草地に突っ込む。その後グランドクルーが追いついたが、後部胴体に力を加えてしまい、機体は大きくヨー方向右に回転、右翼を摺って静止。この際、胴体支柱と主翼リアスパー接合パーツの一部(オニギリと呼ばれる部分)を破損。

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機体降下後もパイロットがラダ―を切り続けていることが分かります。

結果的にはけが人はいませんでしたが、機体の一部損傷があり、反省を残す結果となりました。

今後、距離を伸ばしていく中で、パイロットや機体の安全を確保することができるよう、今回 の人員の動きなどを検証し、より安全なTFができるようにしなければなりません。

しかしながら、2回のTFで機体を水平定常飛行に入れることができたのは大きな成果かと思います。

次回以降は、飛距離を伸ばしながら、パイロットの操縦訓練などを行うのをおもな目標にしていく予 定です。


全フライトをYouTubeにアップしました。 http://www.youtube.com/user/10Ftec#grid/user/98019AEEF22CC2BB