12年度第5回試験飛行報告(6/2)

今回は天気予報で少し天気が乱れる予報が出ていましたが、結局は曇りの穏やかな天候となり、非常に良いコンディションの中で行うことができました。

今回は重心測定を行うため、いつもより1時間早く1:15に組み立てを開始しました。1時間弱で後部胴体を除いた機体の組み立てを終え、尾翼なしでの重心測定を行った後、尾翼を取り付けて重心測定を行いました。3:10に重心測定・駆動試験・操舵試験を終え、空が明るくなり始める4:00ごろまで待機しました。


  • 1本目:短距離試験

北北東の風1m/sの中でのフライトとなりました。組み立て中から非常に安定した微風だったので、風に関しては問題はないと判断しました。きれいに滑走した後、エレベータを入れて浮上しました。エレベータをアップ側に入れ続け、縦方向は安定していたように見られる挙動をしました。

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今回、計測機器の不調で舵角のログが振り切れています。次回までに修正する予定です。

若干横風に流され、早めにストップをかけたため、同条件でもう1本飛ばすことにしました。

  • 2本目:短距離試験

風が若干弱まり、北から0.5m/sほどになりました。1本目と同様エレベータを入れて浮上させました。エレベータを入れ続けた状態で姿勢を保ち、200mほど滑空しました。

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フライト中エレベータを入れ続けていたため、トリムを1degアップにすることにしました。

  • 3本目:短距離試験

北からの風が、1.0m/sほどでした。エレベータトリムを水平から+1degとしましたが、挙動は2本目とほとんど変わりませんでした。機速は8.5m/sまで達したものの浮上しなかったため、エレベータを入れて浮かせ、姿勢を維持しました。

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今回のフライトまですべてで、浮く前からエレベータに頼りすぎている感じがあったので、自然に浮上するまでエレベータを入れないようパイロットに意識してもらうことにしました。

  • 4本目:中距離試験

風は少し弱まり、北から0.5m/sで安定していました。急に危険な挙動をすることはないだろうと判断してこのフライトから少しずつグランドクルーの配置間隔を延ばしていきました。

滑走中はエレベータを入れず自然に浮上するのを待ちましたが、8.5m/sに達したもののなかなか浮かなかったためやはりエレベータを少し入れて浮かせました。

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エレベータに頼って浮上する傾向は改善されましたが、まだトリムアップの余地があると判断し、エレベータトリムを1degアップして2degとしました。

  • 5本目:中距離試験

4本目と同様、北からの風0.5m/sでした。少し長めに滑走した後、エレベータを少し入れて浮上させました。エレベータを入れて高度を上げ、ニュートラルに戻すと少し頭下げで高度が落ちていくという挙動を3回繰り返しました。

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4本目と比べてエレベータに依存して浮上する傾向はさらに改善しましたが、ニュートラルで頭下げの傾向が見られるので、
トリムをさらに1degアップして3degとしました。機速は地上滑走時は8.5m/sに達し、浮上してから設計機速を下回る8.0m/sほどとなりましたが、やがて回復するため揚力不足の心配はないと暫定的に判断しました。

  • 6本目:中距離試験

風は弱まりほぼ無風となりました。きれいな滑走の後、軽いパルス的なエレベータ入力により浮上しました。滑空中数回エレベータを利用しています。浮上後は上空の風に煽られ、右に流されましたが、エルロンとラダーを併用して滑走路の中央まで機体を戻し、エレベータを使ってきれいな着地をしました。

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挙動の再現性を確認するために、同条件でもう一度繰り返すことにしました。

  • 7本目:中距離試験

また少し風が出て、北から1.0m/sで安定していました。

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今回は浮上直前のエレベータ操作が大きすぎたために、機体は大きく頭上げ状態で浮上しました。そのまま上空の横風により大きく左に流されました。位置修正のためエルロンとラダーを入れてロールさせましたが、姿勢回復は間に合わず、着地時に右翼端を滑走路に激しく擦りました。これにより右翼端のプランクとフィルムを損傷したので、その場で補修を行いました。

  • 8本目:中距離試験

6本目と同様、時折エレベータを入れながら安定した飛行をしました。

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トリムアップの余地がまだあると判断して、+0.5degして3.5degとしました。また、かなりフライトが安定してきたため、次からはさらに距離を伸ばしてみることにしました。

  • 9本目:長距離試験

エレベータにより浮上しましたが、浮上後にエルロンを操作した際に右エルロンのリンク機構がオーバーセンターを起こし、エルロン部が頭下げ状態のままロックしてしまいました。これが原因で右にロールし、着地の際に右翼端を草地に擦りました。
また、9本目では後輪のブレーキシューが車輪に接触し、地上加速時の抵抗となっていたことも判明しました。

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エルロンのリンク機構の動作が怪しいのでこれ以後はエルロンは使用しないこととし、またブレーキも使用せずに機体の運用が可能であると判断したため、シューを外して接触が起こらないようにしました。

  • 10本目:長距離試験

9本目では距離を取れなかったので、もう一度同じ条件でフライトを行いました。


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きれいに滑走し、回転数100・機速が8.5m/sに達したところでエレベータを入れて高度1.0mまで浮上させ、その後最後までエレベータをアップにいれつつフライトしました。滑空時の機速は7.5-8.5m/sで、浮上した際に100rpmだった回転数はだんだん減っていき、最後の時点では90弱まで落ちていました。風に弱く流されていたのでラダーを使って400mほど飛行し、最後はエレベータをうまく使って下ろしました。

  • 11本目:長距離飛行

このとき風は少し向きが変わり、北北東から1.0m/sでした。10本目ではエレベータを入れ続けて飛行していたので、トリムを更に1.0degアップにして4.5degとしてフライトを行いました。


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地上滑走で回転数100rpm・機速が9.0m/sに達したところでエレベータを軽く入れて高度1.0mまで浮上させました。その後は断続的にエレベーターは入れて高度を3mほどまで上げ、回転数90強、機速8.0m/s前後で安定して飛行しました。地上3mあたりでは風が安定していなかったために何度か風にあおられる様子を見せましたが、うまく戻しつつ600m超を飛び、きれいなランディングを決めました。


今回の試験飛行でほぼ安定が取れてきたため、次回からは距離を伸ばしつつ微調整を進めていきたいと思います。エレベータトリムが最終的には水平から機首上げ方向に4.5degとしていたため、次回翼位置をさらに前に出すか、このままトリムを調整するかどちらにするか検討します。

動画

こちらの再生リストより、全フライトの動画がご覧になれます。 http://www.youtube.com/user/10Ftec#grid/user/0EB509A9E9D7912D