12年度第9回(最終)試験飛行報告(7/8)

12年度第9回(最終)試験飛行報告(7/8)

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今回は夜中まで断続的に雨が降り、天気が心配されましたが、夜中に一度雨が降った後は雨が降ることはありませんでした。
組立は2:10に開始し、3:20にラダーを除いて組立を終えました。今回は東風が強かったので、ラダーの組立は、風が収まるのを待ってから行いました。風の影響と、曇りで明るくなるのが遅かったことから試験開始は4:30ほどとなりました。

今回のTFは、早稲田大学と静岡大学との合同となりました。


  • 発進練習 1,2本目

日が明けた段階で、フライトを行えないくらいに横風が強かったため、最後に予定されていた大会時のプラホ上での発進練習を最初に行うことにしました。


1本目では、プッシャがオーバーランしたり、ひざを擦ったりしました。2本目ではもう少し助走距離を短くすることを意識しました。

2本目なのですが、発進直後にプロペラハブが破損し、プロペラが落下しました。即座に機体を停止させたためけが人や機体へのプロペラの衝突はありませんでしたが、プロペラの外皮が地面にたたきつけられて損傷しました。ハブとプロペラは、予備のものを持ってきていたので、それらに交換して試験を続行しました。交換中に徐々に風が収まってきたので、交換後は400mのフライトから行うことにしました。

  • 1本目:中距離試験(400m)


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北からの風が3m/sほどで吹いていました。若干東よりの成分があったので、滑走路をまっすぐ飛ぶ練習としました。8.0m/sに達したところでエレベータで浮かせました。浮上後ラダーでうまく偏流飛行できていますが、途中少し流されるタイミングがありました。最後までエレベータで持ち上げる感じとなっていて、機速は7.5m/sあたりでした。

  • 2本目:中距離試験(400m)



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浮上直後はラダーでまっすぐ飛んでいましたが、少しだけラダー・エルロンを左に入れたところ大きく流されていきました。流されはじめてからは断続的に右に切って中央に戻そうとしましたが、ややオーバーコントロール気味でS字状の軌跡となりました。最後は指示を元に滑走路のほぼ中央に降りましたが、風の方向に頭を向けて着地したため、そのまま草地の方へ走っていって止まりました。

  • 3本目:長距離S字試験(600m)


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静岡大学が撤収を決めたため、滑走路北側600mを使用させていただくことになりました。このため、3本目からは600mを使用し、エルロンとラダーを使用したS時飛行の練習をしました。浮上後ラダーで滑走路に対してほぼまっすぐに飛んだ後、軽く左に切って滑走路左に流されました。この後エルロンとラダーをフルに入れ、右→左に旋回し、姿勢を戻して着地しました。

  • 4本目:長距離S字試験(600m)




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8.0m/sあたりでエレベータにより浮かせ、そのまま左へ流されていきましたが、ラダーで風に正対する方向に向け、滑走路右側まで行きました。その後左にフルラダー・フルエルロンで4秒ほど切ったところ、大きくバンクがつき旋回しました。このとき大きく高度を下げると同時に左に横滑りしました。パイロットによるとこのとき「揚力がすっとなくなるのを感じた」とのことで、失速の一歩手前だったかもしれません。その後は姿勢を立て直し、左に行き過ぎたため右に切って滑走路中央へ戻しました。

  • 発進練習 3本目

4本目のフライト後、5本目のフライトに向けて機体を移動する際に、発進練習を再度行いました。今回は大きな問題もなく、規定の距離までにスタメンが機体を離しプラホ上で発進できることを確認できました。

  • 5本目:長距離試験(750m)



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滑走後に機体が右に向いてゆき、そのまま草地へ突っ込んでストップしました。草地に入る瞬間に機体に大きく衝撃が加わり、翼が前後に大きくたわみ、ラダーがしりもちをつきました。停止時の衝撃でパイロットはコクピットから投げ出され、フェアリングが中破しました。また、停止直前に下部張線に人が接触し、ひざをすりむく怪我を負いました。二人とも幸いにも軽傷で済んだものの、一歩間違えば大惨事につながりかねない、きわめて危険なフライトでした。

風が東よりで滑走中に左にロールしたのを滑走中の操舵で戻そうとしたものの、回復せずに機首が右を向き、プッシャが異変を感じストップをかけたものの、長距離試験のためグラウンドクルーが配置されておらず、とっさの状況でパイロットが草地への進入を回避することもできずに、事故に至ったものとみられます。

背景として、時間制限が迫っていたことにより、メンバーに焦りが生じていたことが事故につながる原因となったと考えられます。発進練習をした後の長距離試験ということで、グラウンドクルーの配置などの準備に手間取り、フライト開始時点で7:05と、本来なら撤収すべき時間になってフライトしようとしており、多くのメンバーが冷静さを失っていました。ラダーの接合部のヒンジが固すぎて中立位置に戻らないことがフライト直前の操舵試験時に判明していましたが、工具がその場に無く、取りに戻る時間がないため、そのままフライトを続行しようともしていました。

その場で損傷箇所の軽い点検を行い、解体に移りました。解体時も時間がないことで焦りがみられ、また翼解体時にリアスパ接合部の金具が取れていることが判明し対応に手こずりましたが、なんとか8:00に滑空場を撤収できました。


今回はいろいろな箇所で不具合が出て、大会に向けて課題を残す試験飛行となりました。これに関しては大会まであと3週間あるため、今回破損した箇所を確実に補修し、本郷において各種の試験を行うことで不安要素をなくして大会に臨めるよう準備します。

その一方で、今回を含め、今年度の試験飛行では舵の効きを確かめ、パイロットの習熟を図るという点で大きな成果を残しました。特に去年から導入したエルロンの効き・応答を確かめることができたのはとても大きな収穫となったと考えています。パイロットも2年目で、去年と合わせると試験飛行で100本以上のフライトを経験しており大会では大きなアドバンテージとなるはずです。

今年の試験飛行の目標(エルロンの効きを確認し、S字飛び切りを行う)はほぼ達成しました。また、今回の試験飛行で破損した各部位の点検・補修は1週間では万全には終わらないと判断したため、今回の試験飛行をもって12年度の試験飛行を終了します。

動画

全フライトの動画は、http://www.youtube.com/playlist?list=PL586F32F590793925より御覧ください。