2013年度第1回試験飛行報告(04.27)

1st

4/26(金)~27(土)にかけ、13年度初めての試験飛行を行いましたので詳細を報告いたします。

組立時は少し風が気になる程でしたが、フライト時には北からの微風かつ快晴という好条件でした。
初回の試験飛行につき組立、操舵試験、重心測定、翼位置の変更に時間がかかると見込んで余裕を持って1時20分に組立を開始しました。そして、3時前には組立が完全に終わり、そこから操舵・駆動試験および重心測定をし、測定の結果、翼位置は大学での荷重試験から決めた位置から動かさないことにしました。詳しくは後述します。また、操舵試験中に操舵のプログラムに問題が発生しましたが、後述するように書き換えを行い解決しました。
重心測定後はメンバーのアップおよび休憩時間をとり、日の出の20分前の4:40頃に機体の移動を開始しました。


今年は設計機体速度が9.5m/sと滑走路上のスタメンによる加速のみでは必要速度まで加速出来ないと判断したため、縦の安定性の確認のためにも、低機速で一度機体を浮上させるため、インパルスによる離陸か、主翼設定迎角の変更が考えられました。
その結果、パイロットがまだ未熟である内はインパルスによる離陸は望ましくなく、胴体桁に対する迎角を変更するのはトリムや重心位置を合わせた後また本番用の迎角に調整する手間が発生するため、主翼取付け角自体は変更せず、前輪に高さの違うものを用いることによって離陸時の迎角を増加させる案を採用しました。

用意した車輪は4種類:通常車輪(大会本番で使用予定)の「迎角0度増し」の物、黒色の車輪で「迎角0.9度増しの物」、茶色の車輪の「迎角1.4度増し」の物、青色の車輪で「迎角1.8度増し」の物。尚今回は「迎角1.4度増し」の車輪は使用しませんでした。初期のテストフライトでは大きめの車輪を使用し、とりあえず機体を離陸させ安定性を観察して重心を合わせるとともにパイロットの習熟を図り、シーズン後半で出来れば通常車輪でインパルスを用いた離陸を行いたいと考えています。

更に今回の機体では、去年車輪に直接取り付けるブレーキが強すぎ、使用できなかったことから、着陸後に機体速度を低下させるブレーキの新たな案として、実験的にエルロンブレーキを実装しています。実態は両エルロンを同時に6度程頭下げに切るスイッチを操縦桿の反対側のグリップに装着したもので、通常車輪使用時、翼端の迎角が約0度から下がることで全機体抵抗を約1.1N増加させられます(空中での全機体抵抗は約24N)。なお、今回のテストフライトでは撤収時間が迫っていたため試用しませんでした。あくまで実験的な装備であり、コンテスト本番ではもちろん取り外す予定です。

今回のテストフライト前の組立時、操舵試験でエルロンの効く向きが逆であり、エルロンブレーキが動かないことが判明。書き込むプログラムを間違えていた様なのでその場で修正しました。しかし何度か操舵試験をしているうちに右のエルロンがニュートラルに戻らなくなるトラブルが発生。その場しのぎの策として、右側のもエルロンに初期トリムをつけ対処しました。帰還後、リンクの2本のネジの過度の締め付けによってサーボホーンのなめりが原因と発覚しました。

今回の重心測定の結果、大学での組立試験時よりも60mm翼位置を前に動かすのがよいという結果がでましたが、想定していたよりも余りに差が大きかった上、組立時に風が少し吹いていたこと、初回であることを考慮し、安全側の大学での値を採用しました。また、機体重量が設計想定時よりも1.5kg程軽くなっていたため、翼の取り付け迎角を3.2°から3.0°に変更し試験飛行を実施しました。


1本目:歩行試験
使用した車輪は「迎角の0度増し」、即ち通常仕様の車輪。 回転数は約60rpmで実施。 何本か非常に距離の短い物を行った 途中、回転数計、チェーンが外れる等のトラブルに見舞われたが、テンショナーのバネを更に短い物に変更しチェーンのたるみを解消。 他に、スタメンの押し方の問題から何度か左右に進路がずれることがあったものの、車輪自体に問題はなし。

2本目:走行試験
試験前に回転数計の電源の入れ忘れに気付いてストップをかけ、入れ直してから実施。 使用した車輪は「迎角0度増し」の物。 回転数は約70~80で実施。 特に異常は見受けられず。

3本目:走行試験
使用した車輪は「迎角0度増し」の物。 回転数は約70-80で実施。 発進後右にロールした。 停止後翼胴接合がずれているのがはっきりと視認出来る程になっていた(右翼下がり)ので、接合を修正すると同時に車輪を変更(前輪)

4本目:走行試験
使用した車輪は「迎角0.9度増し」 回転数は約70-80で実施。 今までより大きく上反が付く程まで加速したものの浮き上がりはせず。 また機体は右にそれて停止。 車輪から異音と見受けれられる大きな音を確認したが、点検したところ問題は無かった(素の車輪の音)。この車輪は他の車輪よりも走行抵抗が大きい懸念が出た。 試験後車輪を変更

5本目:走行→ジャンプ試験
使用した車輪は「迎角1.8度増し」の物。 回転数は約90-100で実施。 機速計での最大速度は約8.2m/s 最初の方で走行試験を実施し、問題が無さそうであったのでそのままスタメンの全力疾走へと移行しジャンプ試験を行った。機体は左へ逸れ、後輪が浮くのをはっきりと視認。パイロットがエルロンを一瞬右へ切ったところ機体が大きく右へ逸れ、滑走路の中心を超えて停止。エルロンの効きが少し良過ぎると判明。パイロットと複数の目撃証言から、前輪が本の微かに浮上していたと判明。

6本目:ジャンプ試験
使用した車輪は「迎角1.8度増し」の物 回転数は約100-120で実施 機速計での最大速度は約8.2m/s 又後輪から浮き、続いて一瞬前輪が浮くのを確認。 パイロットが一瞬エルロンを使い、右へ切った後、切り過ぎたと感じたため左へ切ったものの機体が反応せず。停止後、右エルロンが頭下げの位置で固定されてしまっており、動かなくなっていたことが判明。後の検査で、サーボのホーン(プラスティック)の歯のなめりが原因と判明。このサーボは去年から引き続き使用していた物である。該当するパーツをアルミの新しい物に次回以降変更することに決定。


6本目の結果、フライトを続行することはできなかったため、予定より少し早めでしたが6:40に解体を開始しました。解体自体は特に問題なく終わり、7:55には滑走路から撤収しました。

次回の試験飛行での調整方針は今回の結果を熟考して木曜日のミーティングまでに決める予定です。

試験飛行の動画はYoutubeのF-tecチャンネルに投稿されています。第一回の動画は以下の再生リストより御覧ください。

F-tec 2013/04/27 第1回試験飛行