2013年度第2回試験飛行報告(05.04)

今週は先週より若干風の強いものの、快晴で天候に再び恵まれました。

TF出発直前に、エルロンの動作不良が発見されるも、基盤の交換、取付け方法の見直しにより、積み込みには無事間に合いました。基盤上でのはんだ付けの不備、又は操縦桿への過負荷による基盤の変形によるショートが原因であると考えております。

滑空場で機体組み立て後の操舵試験でラダーが逆に動くのが判明しましたが先週同様その場でプログラムを修正しました。重心測定の結果、機体総重量は先週より約200g増しになっていましたが計算の結果、重心位置は1mmも変化していなかったため、先週の6本目と同じセッティング(翼位置は4/20の組立試験で求めた値のまま、今回のジャンプ試験を始めることにしました。

尚、先週チェーンが何度か外れるトラブルがあったため、今回はチェーン長さを詳細に測定し直し、チェーンを2ピッチ縮め、それに伴いテンショナーのばねも変更したところ、チェーン外れのトラブルはだいぶ改善されました。翼胴マウントが胴体桁の周りを僅かに回転してしまう問題も、マウントの接触部分の拡大、滑り止め材の変更、接着の見直しにより解決しました。

更に前回のテストフライトでエルロンの効きが良すぎると懸念されたため、切れ角を減らしエルロンの可動域を+5~-6へ変更しました(前回の正確な切れ角は測定しそびれたので不明ですが、約7度と予想されます)。尚、パイロットの操作性を上げるため、ゲインを1/3に減らし、今回は作業場で実際の操縦桿への入力に対する切れ角の度合いをパイロット本人に確認してもらいました。


1本目:走行試験
使用した車輪は先週走行試験の実施しなかった「迎角1.4度増し」の車輪。
最大回転数は80程、最大機速度は約7.8m/sで尾翼の初期トリムは0度で行いました。
両輪浮上はせず滑走路右にそれて停止するも、車輪に異常は見つかりませんでした。

2本目:走行→ジャンプ試験
使用した車輪は先週の最後と同じ「迎角1.8度増し」の車輪。
最大回転数は約80から徐々に100まで上げました。最大機速度は7.5m/s程。後輪が微かに浮上したと確認されました。滑走中に北東(正面右)からの風により機体が大きく左に逸れ、パイロットの操舵が間に合わず滑走路脇の草地に入ってしまい、チェーンが外れましたが幸運にも機体に損傷は見受けられませんでした。

3本目:走行→ジャンプ試験
車輪は2本目と同じ物。今回は尾翼トリムをアップに1度入れました。回転数は約75から110まで徐々に上げて行きました。機速は約7.6m/s。また北東からの風に見舞われ、後半で後輪は浮くも、前輪は浮かないままほんの少し編流飛行気味になりました。グラウンドクルーのストップの声がパイロットに届かず停止が遅れ、再び草地に入り込みチェーンが外れてしまいましたが奇跡的に今回も機体に損害はありませんでした。このジャンプ試験の前半でエルロンでロールを直せている事が確認でき、切れ角とゲインのバランスの先週からの改善が確認されました。

4本目:ジャンプ試験
車輪は変更せず、トリムもそのままで、パイロットの要望によりペラピッチを1.2度から2.0度へ変更し、チェーンを更に2ピッチ詰めました。回転数は約120で行い、機速は約7.8m/sでした。プッシャーの押し方と風の影響でスタート後すぐに右に大きくそれ、操舵も間に合わず草地に入ってしまいました。機体への損傷はありませんでした。後輪の浮上がはっきり確認できましたが、機体が水平には至りませんでした。

5本目:ジャンプ試験
Team ‘F’さんとの兼ね合いにより4本目の停止位置からスタートしました。回転数は約110で機速は約7.8m/sでした。4本目とほぼ同じ挙動を示したためすぐにストップをかけました。チェーンのピッチを詰めたことによりテンショナーのプーリーに力がかかり何度かオーバーセンターをしました。

6本目:ジャンプ試験
車輪、トリムは変更せずに行いました。回転数はオーバーセンターをしないように40-50で先に回しつつ、走行中は120へ上げました。機速は7.8m/sでした。ラダーの操舵が甘く、草地に再び入ってしまいました(尚機体損傷はなし)。パイロットにラダーは今回よりもより持続的に入れる様に指示しました。

この後一度滑走路から機体を離し、Team ‘F’さんの800m飛び切りの間に翼位置、トリムを調整及びテンショナーのばねを短いものに変更し、再開しました。

 

7本目:ジャンプ試験
車輪はそのままで、翼位置を13mm前へ移動し、エレベーターのトリムを0度に戻しました。回転数は約110,機速は約8.0m/s程でした。風により、大きく左にロール、ヨーイングを起こしましたがラダーを長めに切り修正し3本目より激しく前輪のみ滑走路に着いた状態で編流飛行の様な滑走になってしまいました。

8本目:ジャンプ試験
車輪はそのままで尾翼トリムを更に1度アップで、計2度アップに設定しました。回転数は約110で機速は約8.0m/sでした。再び左に大きくロール、ヨーイングを起こし、草地に入ることを恐れすぐにストップをかけましたが、適切な操舵により真っ直ぐの安定滑走に戻りました。序盤でパイロットが操縦桿に力を入れ過ぎ、操縦桿の固定部の接着が外れかかった状態になってしまいました。

操縦桿の接着部の破損で時間の兼ね合いから今回はこれで撤収にしました。全体的にまだ重心位置は前で安定側に入りすぎているので次回は翼位置を更に17mm前(組立試験の結果より計30mm前)で尾翼トリム0度でジャンプ試験を開始しようかと検討しております。


今回の試験飛行の動画もYoutubeのF-tecチャンネルに投稿されています。以下の再生リストより御覧ください。

[F-tec 2013/05/04 第2回試験飛行]