2013年度第8回試験飛行報告(06.08)

6/7(金)夜から6/8(土)早朝にかけて第8回試験飛行を行いましたので報告致します。


今回は早稲田大WASAと電通大UECwingsと共同での試験飛行となりました。協議の結果、割り当てはF-tecは滑走路の北側400mを使用することとなりました。途中、2チームが解体に移ったため、最後(10本目)のフライトは北側600mを使い中距離試験を行いました。

本郷にて機速計の検証を行い、バグの原因だったロータリーエンコーダからのサンプリングレートを十分大きくして今回の試験飛行に臨みました。本郷にて風を機速計に当てて動作試験を行った結果、前回頭打ちとなった80程度より大きな値が出ていたので、機速計のデータは校正できたと考えられ、実際に試験飛行をしていく中で、機体の挙動に見合った機速が測定されていました。

2:15に組立を開始し、3:30に終了しました。その後全機組み上げの後以前から少しずれているのではと疑われていたラダーのニュートラルの調整をし、操舵試験を行い無事に終了しました。その後駆動試験を行い、パイロットの要望でプロペラのピッチ角を2°から0°に変更し、機体をフライトのスタート位置へと移動開始しました。

風は終始北向きの成分を持っていたので、すべてのフライトで滑走路中央及び滑走路中央より南側100m地点から北向き(10本目のみ)に向けて飛ばしました。


  • 1本目:走行試験
    後輪を交換したため、走行試験を行いました。まっすぐ走行して車輪に問題がないことを確認しました。

  • 2本目:中距離試験
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    https://www.youtube.com/watch?v=wAppWo84zD0

風は1時の方向から2.6m/sでした。機首を左に向けながらエレベータで浮上し滑走路から飛び出しましたが、ラダーとエルロンを使って滑走路に戻しました。着陸時にエレベータを戻すと機体は頭下げに降下しました。
回転数は90、対気速度は浮上直前が10m/sで浮上後は9.0m/sでした。

  • 3本目:中距離試験
    風は1時の方向から1.5m/sでした。ロールとヨーをエルロンとラダーで直しながら滑走しました。
    エレベータを機首上げ方向に短く数度切りましたが、浮上には至りませんでした。回転数は90、対気速度は10m/sでした。

  • 4本目:中距離試験
    滑走中に左にロールしていったため、すぐストップをかけました。風は1時の方向から2m/sでした。

  • 5本目:中距離試験
    風は1時の方向から1.5m/sでした。機体が浮く気配がなかったため、あらかじめ決めていたストップラインでストップの合図をかけました。回転数は100、対気速度は10m/sでした。

この日は機体が加速するにつれて右へヨーイングしていく傾向にあったため、ここで再びラダーのニュートラル位置を調整しました。さらに、ペラピッチを0度から0.5度としました。

  • 6本目:中距離試験
    風は1時の方向から1.1m/sでした。まっすぐ滑走してエレベータを短く入れましたが浮かず、ストップをかけました。回転数は100から徐々に90へ落ち、ストップ直前の対気速度は10m/sでした。

  • 7本目:中距離試験 (1時の方向から風速1.1m/s)
    最大回転数は100程、最大対気速度は10m/s程でした。安定に滑走するも、浮上には至りませんでした。

7本目の後に尾翼トリムを3度に変更しました。

  • 8本目:中距離試験(1時の方向から風速1.4m/s)
    最大回転数は100程、最大対気速度は9.5m/sでした。滑走中に左に大きく逸れるも、操舵で無事に戻せました。しかし浮上には至りませんでした。

浮上する気配が見受けられなかったので、後輪の車輪を変更し「迎角0.4度増し」の状態にセットしました。

  • 9本目:中距離試験(1時の方向から風速2.0m/s)
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    https://www.youtube.com/watch?v=yidalchMUJ8

光学式回転数計が日の光の影響を受け、回転数が正しく計測できませんでした。最大対気速度は10m/sでした。プッシャーが一人機体を離した後に転倒するアクシデントがありましたが、幸い膝を軽くすりむく程度で済みました。今回は機体は浮上しましたが、浮上中に大きく速度を失い、高度をすぐに失ってしまいました。高度を失うと同時に速度も回復し再浮上し、2度目の着地の衝撃で、操縦桿、グリップの接着されたカーボンパイプのハンドルが取れてしまいました。幸い着地後だったので大事には至らずパイロット、地上員に怪我などはありませんでした。

10本目:中距離試(北西から微風)
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回転数のデータはとれませんでした。最大対気速度は10m/s程でした。
浮上後機体が右に逸れたのでラダーを左に切った直後ラダー、エレベーターの操舵が全く効かなくなり、エルロンも操縦桿のスイッチが物理的に故障し操縦不能に陥り、そのまま機体は左の少し丈の高い草の草地に入り込んでしまいました。幸いにもパイロット、グラウンドクルーに怪我はありませんでした。機体への損害自体も、プロペラの片方のブレードの損害を除けばほとんど見受けられませんでした。尚、機体を滑走路上へ戻した直後の操舵試験ではエレベーター、ラダーの正常な動作が確認されました。

分析により、故障の原因は老朽化したサーボの動作不良と発覚し、全サーボの買い直しを決定しました。尚、他にも操縦系統の電装類は各種ショート対策、操舵面一つ故障時に全て動かなくはならない様な対策を施すことを決定しました。次回以降、各フライト後の電装類の各部チェックも強化します。


今回のテストフライトを通して、琵琶湖での安定したフライトには、パイロットの習熟と最適なペラピッチ角、尾翼トリム角の調整がまだ必要と分かりました。来週の初期設定は今回の最終機体設定を踏襲する予定ですが変更される可能性もまだあります。

全フライトの動画は以下のリンクよりご覧ください。
2013年度 飛行理論実践委員会F-tec 第8回試験飛行