まず、本来であれば例年通り4月26日(土)に実施する予定でしたが、本郷キャンパス内で起きた火事の影響で一時的に作業場が使えない状態となり、作業に大幅な遅延が生じてしまいました。 そのため、準備が間に合わず延期としました。
この窮地の際に、一時的に機体を置くスペースを確保していただいた関係者の皆様にこの場を借り、重ねてお礼申し上げます。
ありがとうございました
さて、以下試験飛行の内容についてです
第1回目の試験飛行では機体を押すプッシャーの習熟とジャンプ試験を目標に進めました。
組立はスムーズに進み、1:25に開始して1時間30分で完了しました。
組立後の操舵試験においてエルロン、尾翼を同時につなぐと尾翼が動かなくなりました。電池ケーブルの圧着不良、電流過多になるプログラム上のバグが原因と判断できたためその場で対応しました。また、右エルロンとエレベーターが逆に切れていることが判明したため、その場でプログラムを書き換えました。
操舵試験で見つかったバグを直している合間に重心測定を行うこととしました。
本郷キャンパスで行った全機組立試験において機体重量が設計想定値より2.7kgほど重くなっていたため、主翼の取り付け迎角を3.2°から3.4°に変更しました。
今回滑走路上で行った重心測定の結果、大学における組立試験時よりも5mm前に動かすのが良いという結果が出ました。
迎角を上げたことにより風圧中心が前にいくこと、組立試験時の測定値と大差が無いことを考慮し、初回は組立試験時の値を採用しました。
重心測定後に駆動試験を行いました。
異音がしたためシャフトを分解し検査したところ、ペラシャフトとギアの間のベアリングに負荷がかかり動いてしまうことが原因とわかりました。固定方法から改善しなければ異音は消えないとわかり、その場での修理は困難と判断しました。このため、車輪のチェックとスタメン習熟のための走行試験までを実施し、ジャンプ試験は行わない事としました。
操舵、駆動のチェックは5:30に終了し、歩行試験へと移りました。
明け方の天気は晴れ、風向きは無風~南から微風の好条件でした。
滑走路の北側を使用し、護岸工事のテトラポットを避けるため北向きに機体を走らせました。歩行試験4本、走行試験5本を実施しました。
以下詳しい内容です。
- 第1回–2014.05.03
このリンクから動画を閲覧できますので、併せてご参照ください。
1本目:歩行試験
足元回転数60rpm、中央白線より土手側に機体を置き、ゆっくり歩くスピードで実施しました。 右にヨーする傾向が見られたのでプッシャー、地形、車輪のいずれかが原因と考え検証していくこととしました。
2本目:歩行試験
プッシャー左右の人員を入れ替え、実施ました。 やはり右にヨーする傾向が見られ、中央の白線に差し掛かったところで表示計が外れたため、ストップをかけました。
3本目:歩行試験
地形の影響と推測し、機体のスタート位置を中央白線より川側に変え、実施ました。 1本目、2本目より強く右にヨーする傾向が見られたため地形による効果は低いと考えました。
4本目:歩行試験
2本目と同じ条件で行いました。 再び右にヨーする傾向が見られたため、プッシャーの習熟によってヨーを修正していく方針に変更し走行試験をすることとしました。
5本目:走行試験
足元回転数90rpm、2本目と同じ配置から全力疾走しました。 プッシャーにはヨーを修正する方向の力をかけてもらいましたが、右にヨーしたためストップをかけました。
6本目:走行試験
プッシャー左右の人員を入れ替え、実施しました。 ヨー方向のズレがかなり改善されたため、プッシャーは今後も同じ配置で行くこととしました。 7本目:走行試験
走行距離を伸ばし、実施ました。 若干右に行く傾向が見られましたが、プッシャーの習熟不足と判断しました。
8本目:走行試験
途中でプッシャーに手を離してもらい、機体のみで滑走させました。 機体から手を離す前後で急にヨーがつき、プッシャーの離すタイミングの不一致とも考えられたため、これを統一できるよう工夫してもう1本行うこととしました。
9本目:走行試験
8本目と同様の条件で、プッシャーの離れるタイミングを合わせました。 発進後右にずれていったため、機体を停止させました。この時、すでに動線が右にずれたストップをかけるべき危険な状態から手を離してしまいました。
積込、解体の状態を考慮し6:35に解体を開始、7:45に撤収しました。
駆動方式の変更があったにせよ、作業場にて確認できる事項が多くあったことを一同深く反省し、次回のTFが実りあるものとなるよう精進してまいります。
次回はジャンプ試験を実施し、現在の重心位置の妥当性を判断することを目標に行います。
以下、全フライトのログを掲載します。
1本目