2013年度第10,11回試験飛行報告(06.22,23)

先週22日(土)および23日(日)早朝に実施しました第10回・11回試験飛行について報告いたします。


1週間前の第9回試験飛行は、直前の天気予報判断で土日で決行に踏み切ったものの、残念ながら飛行場の現場で予報以上の激しい雨に見舞われ、1本も飛ばせないまま撤収となりました。昨年度までは飛行場に赴いたもののフライトを行えなかった場合、試験飛行の回数に含めませんでしたが、今年は諸々の混乱を防ぐため中止となった前回も回数として計上します。

今回は21日から23日にかけて連続試験飛行を行い、天気は両日恵まれ、無事フライトを行うことができました。

6/22(土) 1日目(第10回)

富士川滑空場到着時は雨風が強かったため、橋の下でしばらく待機したものの、1:30に止んだため移動し通常通り組立を開始しました。組立中、右の内外翼の接合がかなりきつくその場でヤスリがけを行うことになり30分程時間をロスしました。原因は湿気によるバルサの膨張と、本郷でシグマファルコン(木製の機体の保持具)の上で翼を固定する際接合部に直接テープを巻いてしまった時に付着した粘着剤でした。尚、操舵系に電源を入れた所、尾翼が明らかに異常な振動を起こしました。原因は書き込んだ操舵のプログラムのバージョンを取り違えていたためで、プログラムを書き込み直して修正しました。

重心測定時には完全に無風で、翼の上にもほとんど水滴などは付着していませんでした。

今回は前回より翼位置を更に10mm出し、エレベーターのV字マウントに重心調整用のおもりを200g、尾翼翼端フェアリング(総重量120g程)を追加して行いました。測定結果では重心位置は今回狙った35%MACより0.8%後ろと判明したため、重りを100g外して1本目を行うことにしました。滑走路はWASAと合同で使用し、F-tecは北側400mを使用しました。


  • 1本目:中距離試験 (4:35、南向き)
    無風で、回転数は約100rpm、対気速度は約11m/s、尾翼トリムは2度、車輪は「迎角0.4度増し」で行いました。エレベーターを入れるだけでは浮上しなかったものの、回転数を上げた所浮上。着陸後、予想以上のスピードに滑走路上で誰も追いつけず、機体は左の草むらに入って直後に車輪に泥が絡まり停止。幸いパイロットに怪我はありませんでした。少し頭下げに見えたので尾翼トリムを1度アップにしました。車輪は清掃後フィルムテープを貼り直し処置しました。
    101
    https://www.youtube.com/watch?v=gQIkZQXOahQ
  • 2本目:中距離試験 (4:59、北向き)
    3時の方向(川側)からかすかに風があり、回転数は約90rpm、対気速度は約8m/s、尾翼トリムは3度で行いました。滑走中に風見の方向に大きく逸れ草地に入り、浮上には至りませんでした。

  • 3本目:中距離試験 (5:14、南向き)
    無風で、回転数は約100rpm、対気速度は約10m/s、尾翼トリムは3度で行いました。エレベーターで浮上し、若干頭下げで安定した飛行をしました。
    103

    この後WASAのフライト待ち、及び風待ちでしばらく時間を消費しました。

  • 4本目:中距離試験 (5:55、北向き)
    滑走路を今回から600m使用しました。1時の方向から2.3m/sの風、回転数は約95rpm、対気速度は約10m/s、尾翼トリムはアップに2.5度で行いました。スタート後左へそれましたが操舵で戻しました。エレベーターを断続的に入れて飛行しました。若干頭下げの傾向が見えましたがエレベーターを入れなくても落ち方がかなり緩やかでした。この後、エレベーターの初期トリムを減らすため、水平尾翼のV字マウントにおもりを100g追加し、初期トリムを2.5度にしました。(尚サーボの設定では2度だが、尾翼の変形により後縁位置は2.5度)。更にエレベーターゲインを縮小し、尾翼初期トリム位置から最大で±5度尾翼が切れるようにしました。

  • 5本目:中距離試験 (6:20、北向き)
    正面から風速1m/sの風、回転数95、対気速度9.5m/s、トリムは2.5度で行いました。浮上直後かなり安定した飛行をしましたが、途中突然高度を失いました。迎角つき過ぎによる失速には見えないため、風が原因だろうと判断しました。
    この後ラダーの初期位置を少し(1度未満)機首右へ変えました。
  • 6本目:中距離試験 (6:38、北向き)
    1時方向から0.8m/sの風、回転数約90rpm、対気速度約10m/s、トリム2.5度で行いました。
    離陸時に左にロールしていたため、離陸直後大きく機体が左へそれました。高度も低かったためグラウンドクルーと危うく接触しそうになり、かなり危険なフライトとなってしまいました。幸い怪我人は発生しませんでしたが、離陸直前の機体姿勢が悪い場合は早めにストップをかける必要性、グラウンドクルー(特に下級生、新入生)への機体回避法(機体進行方向と垂直に逃げる、いざという時はペラを避けてその場で伏せるなど)の徹底の必要が痛感されました。
    この後の機体チェックで前部車輪の車輪受けのパテの剥離が確認されたため、両輪を交換し「迎角1度上げ」の状態にしました。

  • 7本目:走行試験(7:17)

前後の車輪受けを交換しており、本来の支柱に対応した車輪受けを使っていないためか直前の機体移動時にタイヤから異音を聞き、プッシャーがヨーの力を感じていました。走行試験自体では目立った問題は見受けられませんでしたが、この車輪の状態は望ましくなく、次回以降は本来の支柱に対応した車輪受けを使用するべきと結論付けました。

今回のテストフライトでかなり定常飛行に近いセッティングを確保したものの、本郷に帰った後改めて動画を見直すと、エレベーターを切っていない時にまだ少し頭下げで高度を失う傾向が見受けられるため、トリムや重心位置、ペラピッチ等の若干の調整が望ましいと考えられます。

椅子の再接着を考慮しない、計算値の予想の35%に対して測定結果がかなり妥当なことから、最初の翼位置として採用した本郷での組み立て試験での重心測定に基づく値に大きな誤差があったものの、テストフライト前の全機組立時の好天候条件での測定結果はかなり信頼できるものと考えられます。尚、パイロットが試験飛行を重ねる前の時点では自身の最適な着座姿勢を認識していないことが組立試験時の誤差の大きな原因の一つと思われます。

 

6/22(土) 1日目(第10回)

2日目は午前2時に組み立てを開始し、明け方4時半頃にフライトを開始しました。

Team’F’とWASAとの3チーム合同TFで、F-tecはほかのチームが待機している間に滑走路の北から600mを利用しました。

他チームとの連携が不十分で、待機時間が長くなってしまってフライト本数を稼げなかった点は悔やまれます。頻繁に状況を報告しあい、他チーム待ちで動けない時間を減らすことで改善いたします。

エレベータのトリムは2.5度、車輪は迎角0.4度増しのものに設定し、発進練習の4本目まで変更しませんでした。

風は北から吹いていたため、4本の試験はいずれも北向きに実施しました。


  • 1本目 走行試験(4:22)
    風は正面から2m/sでした。
    1日目に損傷し、2日目の開始前に修理した車輪に問題がないことを確認するため、80rpm程度でこぎながら走行試験を行いました。異常がなかったため、この車輪を使用して2本目以降のフライトを行いました。
  • 2本目 長距離試験 (5:03)
    左にロールしたまま浮上し、離陸直後に左へ流されましたが操舵で滑走路に戻しました。風は1時方向から2m/sで、対気速度は最大11m/s、回転数は最大100rpmでした。

    https://www.youtube.com/watch?v=Ub0jt9cJt5g
  • 3本目 長距離試験 (5:23)
    2本目のフライトと前日のフライトの様子から、機体がロールしたままエレベータで浮上させるのは、浮上直後に大きく機体が流されて危険だと考え、操舵で機体の姿勢を維持しながら滑走させました。
    パイロットが浮かせる判断に踏み切れないまま機体がストップラインに近づいたため、ストップをかけました。風は右前方45度から1.5m/sでした。

    減速中にチェーンのテンショナーのケブラーが破断し、ペラの回転が急停止しました。ペラに異常はなかったため、ケブラーを張り換えて4本目のフライトを行いました。

ログのファイルが何らかの原因で破損してしまったため、この回のログは残っていません。
* 4本目 長距離試験(6:17)
3本目と同様、操舵で姿勢を維持しながら滑走させ、機体を浮かせずにストップラインの手前でストップをかけました。風は正面から1.5m/sで、対気速度は最大10m/s、回転数は最大100rpmでした。

停止後にラダーのサーボホーンのねじが3本中2本外れているのが見つかり、その場での修理には時間がかかりそうだったため、
時間に余裕を持ってフライトを終了し、発進練習へ移行しました。

浮かせようという意識が全体に希薄なまま滑走距離を伸ばして時間を無駄にしてしまったことは、次回以降の反省点です。
* 発進練習 (6:50~7:17)
終わったらすぐに撤収作業に移れるよう、トラックが近い滑走路北端へ移動し、南へ向けて発進練習を5本行いました。大会本番のプラットホームを想定し、スターティングメンバー5人のうち翼持ちを除く3人で、10mの間だけ機体を押す練習をしました。
4本目まですべて機体が左へそれていったため、車輪が傾いていることを疑って4本目の後に前後輪を別のものに交換しましたが、機体は変わらず左へそれました。
ペラを回し始めた時点ですでに機体が左へロールしていることから、機体が左を向くのはプッシャーの癖によるものと考えられます。

 

7時20分頃に発進練習を終えて解体を始め、8時までに撤収を完了しました。


 

土曜日(第10回試験飛行)の動画はこちらです。 https://www.youtube.com/playlist?list=PLmTA-yn6QIpT7c2YS7hiwmmvyVhn3P0re