F-tecの現状について

代表から、という形で挨拶をするのはこれがはじめてになります。今年度F-tecの代表を務めさせていただく事になりました廣田と申します。よろしくお願いいたします。

昨年度、突然の鳥コン出場辞退に驚かれた方も多いと思います。あれ以来今年度の執行代が発足するまで何の公式な発表も行っていなかったことをお詫び申し上げます。

現在F-tecは顧問不在の実質活動停止状態となっております。

発端となったのはTF中に二度にわたって左エルロンのリンクがオーバーセンターを起こしたことと、危険フライト(14年度第8回TF動画参照)が一回のTFで二度起こったことです。これを見て顧問の先生が「そもそも安全管理意識、航空工学やその他工学に関する知識が足りていない」と判断し、TFの続行を禁止しました。その後、大会までに十分な調整・準備をすることが出来ず、琵琶湖で安全に飛行できる保証が得られなかったために出場辞退の決定を下しました。

そして代替わり後、顧問の先生に告げられたのは「学生による人力飛行機製作は一人の教員が責任を負いきれる活動ではないため、来年度以降顧問を引き受けることはできない」とのことでした。今回の活動停止により、F-tecというひとつのサークルにとどまらず「鳥人間」という業界全体が抱える問題がおぼろげながら見えてきています。

 

  • 人力飛行機を飛ばすことは「誰もがやってよい活動」ではない

自動車を運転するには免許がいります。つまり、自動車に乗ることは「誰もがやってよいこと」ではないということです。人力飛行機も考えてみれば同じことです。ものづくり自体は誰もがやってよいこと(ただし機械工作においてはある程度の講習を必要としますが)だと思いますが、それに人が乗るとなると話は別です。人力飛行機を安全に運用するためには航空工学をはじめ、機械工学や安全管理など身につけなければならない知識がたくさんあります。人力飛行機の運用は、本来それらを身につけた人だけがやってよい活動で、そうでない人はやってはいけない活動です。でもそれを一介の大学1、2年生が独学で身につけることは常識的に考えて困難を極めるでしょう。

  • 普通の学生が人力飛行機を製作・運用するために必要となること

では、学生チームが人力飛行機を作って飛ばすことは不可能なのでしょうか?いえ、そんなことはないはずです。現状、学生チームによる人力飛行機製作が困難を極めているのは、例えて言うなら「道路交通法も自動車学校も存在しない状態で自動車だけある」からだと思います。従うべきルール(琵琶湖でのルールではなく、機体製作から試験飛行までにわたる全ての活動におけるルール)がない、ということが大きいと思われます。

先ほど免許がなければ自動車には乗れない、と書きましたが、逆に言えば免許を取れば誰でも自動車に乗ることができます。必要な講習を受ける→免許を取得する→交通ルールを守る、といった一連の流れに沿えば、誰もが自動車を運転することができる。鳥人間を「誰もがやってよい活動」にするためには「身につけなければならない知識の明確化」「知識を身につけたことを証明する手段確保」「従うべきルール整備」の三つが必要なのではないかと思います。

上に書いた三つのことを一つの学生チームが現役メンバーだけでやるのは不可能です。学生チームの弱点は一年で人が代わることと、時間的余裕がないこと。どうしたって機体を製作し大会に出場することで手一杯で、時間のかかることをやっている暇なんかありません。ではまず手始めになにを始めめたらよいのでしょう。やはり全鳥人間チームでインシデントの共有と公式ガイドラインを作るというのが現実的なスタートなのではないでしょうか。今、どのチームも重大なインシデントを外部に公表していません。うちもそうですが、重大事故の情報はチーム内だけにとどめるというのが業界の暗黙の了解となっています。もちろん、ネット上で無秩序に拡散されては困りますが、業界内ではちゃんと共有すべきだと思います。あとはそれをもとに公式ガイドラインを作る必要があると思います。

現時点でのF-tecの動きとしては、まず昨年度活動停止となり運営改善を行った早稲田大学宇宙航空研究会WASAの執行の方と活動規約等において意見交換を行ったり、外部で鳥コンの運営に関する問題提起を行っている方の意見を伺ったりしているところです。

これからも何か進展がありましたらまめに報告を心がけたいと思います。また、何かF-tecにご意見、ご質問等がありましたらコメントやメールをいただけるとありがたいです。皆様のご協力をお願いいたします。