第5回試験飛行(7/13)

第5回テストフライト結果/本番へ向けての状況

7月13日に、第5回テストフライトを行いました。

今回試験飛行の目的は、主にパイロットの操縦の習熟でしたが、実際に走行させてみると主翼の左右揚力バランスが悪く、機体は大きく左に傾いて接地し、すぐにキャスターが破損してしまったため、飛行を殆ど行わないうちに中止となりました。
以下パート別の報告および、本番へ向けての現状報告です。

プロペラ班

(1)本番までの活動

プロペラ本体の調整は既に済んでいるため、以下の作業を行う。

・1号ぺラを組みあげた状態で持っていくために、キャリアーをもうひとつ作る。(但し持って行く際の車内のスペースの関係で物理的に載せられない場合は、分解して持って行く。これは実際に車が来てみないとはっきりとは分からないので、どちらも準備しておいて、その場で臨機応変に対応することとする。)
・プロペラ用のスピナを改良する。現在のスピナは、胴体部分との間に隙間ができるので、これを無くす又は狭くする処置を施す。
・主翼・尾翼の翼端フェアリングを製作する。今回は、作業場に残っている材料を利用する、という兼ね合いから、スタイロフォームを用いる。
・各種ボルト、ナット類を多めに準備しておく。

(2)今大会への抱負と今後

今大会向けのプロペラは、構造などほとんど全てが昨年の物まねである。物まねをいう表現は聞こえは悪いが、昨年までの構造が極めて良くできているものであるので、とにもかくにも最低限同じモノが作れないと独自の改良もあり得ない、という方針に従って、とにかく最低限昨年までのものを下回らないプロペラを製作することを目標としてきた。

この目標は、全ての面において達成できたとは言い難い(表面処理などは昨年のものの方が滑らかであったし、重さも今年の方が重くなっている。)が、逆に構造面、特にねじれ、たわみにおいては昨年よりも意識して丈夫に作っている。ただ、試験飛行においてはっきりとした証拠(成果)を得られなかったのは残念である。

今回、はじめてプロペラを担当して実際に製作してみて、ようやく何が大事でどういうところは手抜きしても良いのか感覚的にも分かってきたし、数字を用いて定量的に議論することの意味も分かってきた。それは、OBや先輩の指導のおかげであるという部分が大きいし、自分自身の経験も大きいのだと思う。まだ本番が終わっていないのに、こういうことを言うのはまだ早いかも知れないが、来年は、専用の桁を注文し、より丈夫で軽く、かつ滑らかな表面でブレードの重さの差が無い、性能の良いプロペラを独自の工夫を交えて製作したいと思う。

では、本番への準備をしっかりやって悔いの無い大会にしよう、ということを改めてここに記して、本稿の終わりとする。

計測班

今回の試験飛行では、回転数計を廃止し、気速計とそのデータの記録を確実に行うことに重点をおきました。暫定的に3つのプログラムを継ぎ接ぎしてプログラムを作り、最大の懸念であった動作停止は完全に排除できました。

具体的には、これまで回転数・気速の計測用に2つのPIC16F628を用い、そのデータ収集用に、システムとしての中央にPIC16F873を使っていましたが、気速とデータ収集を一つのPIC16F873で統合して行うことにしました。従来は通信ごとにすべて応答を待っていたので、無応答に対する処理を追加しない限り停止の要因が数多かったのですが、今回のシステムでは、EEPROMとのI2C通信以外はPIC内で処理しています。

上記のように暫定的なソフトウェアであったため、データとしては不完全(奇妙)なもの(下図)となってしまいましたが、タイマの処理(計測を行うPIC の種類の変更に伴うもの)、16進数-10進数変換の処理、テーブルの処理の不整合によるものと思われます。秒数から判断して、今回の飛行中の速度と見られる部分をグラフ化しました(したがって、気速の値そのものは不正確です)。ただしデータ処理をのぞけば、基本的に正常に動作している(液晶の表示、割り込みの処理、メータのPWM制御などハードウェア寄りの部分)ように見受けられるので、データ処理の部分について、プログラムを本番までに書き変えることで容易に修正できると思われます。

今後本番に向けて、プログラムの新規作成を筆頭に、予備基板の作成、表示用メータの調整・安全対策、防水加工、コックピットへの安全な固定、等を行う必要があります。しかし今回、ハードウェアは満足のいく物を完成させることができたので、システムとしての完成はさほど困難ではないと思っています。

主翼班

今回の試験飛行では左翼の揚力が足りなかったのか、左右バランスが著しく崩れてしまっていた。原因としては、前回の試験飛行で破損したリアスパ接合部金具を接着する際に迎角が変わってしまったことが考えられる。もう一度各翼がねじれていないか確かめる必要がある。場合によっては先週接着しなおしたリアスパ接合金具をはがして、再接着する。

また、大会までに後縁材やフィルムを貼りなおすことも予定している。

操舵班

第5回試験飛行では、操舵系は特に新たなことは見あたらなかった。

2002年度の操舵が行ったことは、今まで案はあったものの行われていなかったリンケージワイヤの内蔵、である。その他の部分、操縦桿などは以前のもの(2000年)を引き継ぐことにした。初めての部分が多かった内蔵は、OBの指摘に助けられたところが多い。また、新しいことにチャレンジさせてくれた先輩にも感謝している。

問題の内蔵式の動きだが第一回試験飛行のころは作業性の問題点が残ったが、その後のtry&errorで現在では取り付けもすばやくなっている。尾翼自体の動きは問題のないレベルに仕上がっている。しかし、見た目や、持ちやすさは確かに向上したが作業量の多さや、カーボンパイプに穴をあけなければならないのも事実である。来年度以降は問題点を洗って方向を考えるつもりです。

最後になりましたが、今年1年の間さまざまな面で支援していただいたOB、生産研の方々、その他F-tecを支えて頂いた方々、本当にありがとうございました。

フェアリング班

大会に向けて
3週間前になってやっと動き出した班である上に稼動人員の大半が一年であるため、 作業がはかどらなかったのが最大の問題であり、ひやひやさせられた。しかし、山上さんや渡辺さんなどのご助力により、どうにか明日組み立て試験を行える状態にはこぎつけた。とはいっても他にもドアの部分のフィルムが張ってなかったりハーフミラーが張ってなかったりと問題は山積している。残りわずかな時間であるが、有意義に使ってゆきたいと思う。大会当日にフェアリングをつけて飛んでいる飛行機を見るのが何よりの楽しみである。

今年の抱負・来年に向けて
「一つのものを作ってみる」ということを通じて、「作る」ということの難しさが身にしみてよくわかった。材料のことも考え方のことも、1から勉強していかねばならない。今年はまず最低限壊れないものを作ることを覚えることが目標である。材料はどの程度でもつのか、どうすれば軽くて済むのか、etcといったことも順次覚えてゆかねばならない。来年は今年覚えたことを間違いなく行かせることが第一目標である。また、今年失敗した点を徹底的に洗い出して修正していくことが目標である。最後に、フェアリングを何とか形にしてくださった山上さん、渡辺さんに大きな感謝を表明しておきたいと思う。有難うございました。